第4話『雑談、職員室』-4
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
「これくらいで情けない声だしちゃって、全く。 そんなザマだから、いつまでたっても副担どまりを抜け出せないんだ」
「はぁはぁ……す、すいません……」
肩越しに大きな痣を確認しつつ、何故か謝ってしまう。 本当はわたしの方がランクが高いし、補号よりも副担任の方が偉いのに……くそう。
「ま、情けない後輩には優しく教えてやるよ。 テンポが悪い理由は2つ。 1つはマン子どものケツが揺れてること。 内股気味なせいで、歩くたびに尻が横に振れるのがイマイチだ」
恨めし気全開で見上げるわたしに、全く頓着せずに語りかける補号教官。 ただ、指摘には一理ある。 真っ直ぐ爪先が前を向いていたら、尻たぶの動きは最小限に抑えられるはずなのに、それぞれの爪先が微妙に異なる方角を向いている。 だから、言われてみれば、尻の揺れ方は揃っていなかった。
「もう1つはチチポツとクリポツ。 せっかくマン子が汁を垂らしながら歩いてるんだから、全部フル勃起させとけって話だ。 リズムにのってシコったポツが、ピコピコ揺れてはじめて一人前の行進だろう」
「い、一応事前に勃起させてはいるんですけど、ダメですか?」
「足らないね〜、ぜんっぜん足らない。 抓って捻ってほじくり出して、思いきり腫らしてからのフル勃起じゃないと、見てる側に伝わらないなら、それってただの自己満足で、全然フル勃起っていわないから」
「そ、そうなんですか……知りませんでした」
つい漏らしてしまった迂闊な一言。 補号教官がニカッと歯茎をみせる。
「知らない? だったら教えてやるよ。 フル勃起ってのはこういうことさ」
「えっ……あ……!」
やばい、と思った時には時すでにお寿司。 肩口から滑り込んだ武骨な掌におっぱいの先が摘ままれて、
ゴリッ……。
「っぐ……!」
乳首よ捥(も)げろとばかりにひしゃげ、捩じる。 激痛を覚悟したればこそ悲鳴は堪えたものの、頭の芯までツーンとなった。
ゴリッ、ゴリッ、ゴリゴリゴリ。
「……ッ」
指先で押し潰しておいて、乳頭に振れた指腹を小刻みにしごいて摩耗させる。 溜まった血液は行き場を失い、内出血を伴って乳腺周囲を鬱血させる。 結果として摘ままれた乳首全体が、固く手強くシコることに。
「行進中にシコれないってことは、事前によっぽどシゴいてなきゃ駄目さ。 このまま上下に100回ばかりシコっておいて、全員乳首ピンコ勃ちで行進させな。 今のままでも充分及第だけど、もっと牝らしい動きになる」
「教えて……いただき、あり……がとうござ……いますぅ」
痛みに息がつまりながら、どうにか御礼を述べてお辞儀をした。 此方から反応しない限り、いつまでも乳首が潰されっぱなしだ。 肩の痛みもさることながら、目先の乳首の激痛を許して貰うには、とにかく頭を下げるのが最優先。
「ま、せいぜい気張るこった」
教えたいことが尽きたのか、はたまた同僚を嬲るのに飽きたのか、補号教官はあっさり乳首を解放してくれた。 そのまま職員室を後にするのを確認し、胸の底に詰めていた息が、ほうっ、安堵とともに外へと抜ける。
「ったく、バカ力にも程があるよ……アツツ」
痛む胸を庇いつつ、わたしは再度モニターを確認した。 ポニーライクに脚を揃えて上げ下げしつつも、確かにお尻が不規則に揺れ、調和が崩れた行進風景。 なるほど、わたしが感じた違和感の正体は、確かに補号教官が言った通り。
「次の体育は、こりゃ最初は行進指導しなきゃだね……どうせなら、行進も含めて、一番決めてもらいたいもんねぇ……」
独りごちる。 ただし、クリトリスは勿論、乳首の勃起も現状維持で充分だ。 あんなに出鱈目な摩擦と圧迫でシゴくくらいなら、勃起不足で見栄えがしなくたって問題ない。
「ううっ……」
乳首の痛みが引くにつれ、肩口がズキズキ痺れてきた。 痣は、青いを通り越してより赤黒くなっている。 大きさもどんどん広がっている。 肩は、ヘタすれば亀裂骨折くらいはいってそうだ。 後で保健教官に見てもらわなくちゃ……そんなことを考えているうちに、時計の針は13:15を指す。 いかんいかん、時期に授業が始まっちゃう。 してみると、さっき補号教官が職員室を出て行ったのは、単に授業準備をしにいっただけか。
わたしも職員室を後にする。 保健室へは、授業が全部済んでからいこう。 わたしが1分遅れるってことは、35人を待たせるんだから、35分のロスになる。 賤しくも教員たるもの、授業厳守が最優先だ。