第2の犠牲者-7
マギーは二階で業務を行なっている若い世代の所員を探した。横で華英がチャチャを入れる。
「あのイケメンにしようよ♪」
「ダメ、まずは女から。」
「えー?どうして??」
「女の妬みは強力だからね。そう言う話が出やすいのよ。自分だってそうでしょ?」
「私は違うもん!」
「どうだかねぇ〜」
ニヤッと笑ってから再び二階を見渡した。
「うんうん、あーゆー気の強そうな人こそ色々喋ってくれそうね。行くわよ?」
マギーは客のいない窓口で少し暇そうにしている女性に目をつけた。30歳よりは少し若いだろう。茶髪で髪が長く、キャバクラにいそうな気の強そうな女であった。
「ちょっといいかしら?」
「はい??」
顔を上げると少し鋭い目線でマギーを見た。
「ちょっとあっちで話聞かせて貰えませんかねぇ?」
マギーは警察手帳を見せる。その瞬間、怖そうな雰囲気が解けた女性は金沢加奈子と言う女性であった。
「分かりました。」
隣の女性所員にもし客が来たら対応してくれと頼みマギーと華英のあとにつき、人気の少ない廊下の端に歩いて言った。
「あなただけじゃなくて何人かの方々にお話を聞くつもりなんですが、昨日と今朝の事件はご存知ですよね?」
「はい。」
「正直、あなたはどう思いましたか?彼女らを心配してますか?それともザマーミロ的な?」
加奈子は一瞬戸惑ったが、素直に答えてみた。
「ザマーミロ、ですかね…」
キタ…、マギーは手応えを感じた。やはり同世代の人間に聞いてみなければ分からないな、そう思った。
「それはどうして?どちらに対してですか?」
「…どちらに対しても、です。」
「あなたは何かあの2人に嫌な思いをさせられたんですか?」
加奈子は2人を思い出し怒りが込み上げてきた様子で言った。
「私だけじゃないです。たくさんの女性所員が嫌な思いをさせられてますよ!」
まるで怒りをマギーに向けているかのようにそう言った。
(ほらほらキタキタ!やっぱ女な妬み恨みは怖いわねぇ♪)
マギーは内心嬉しくて仕方がなかった。思った通りに喋ってくれそうな加奈子に嬉しく思うが冷静に対応する。
「差し支えなければ教えていただけます??」
「…、みんなあの2人が恥晒しに遭って嬉しく思ってますよ!バチが当たったんだとみんな喜んでました。あの2人は…最低な女ですよ!自分らの争いに私達を巻き込んで楽しんでたんですからね!」
どうやら根が深そうな話が聞けそうだ。マギーは加奈子の気分を損ねぬよう慎重に言葉を選んだ。