ジャック・ランタン現る-1
そんな原田に転機が訪れた。
くそ〜〜っ、高本彩花〜〜。あの女、俺が会議で怒られてたら必死に笑いを堪えていやがった! その後もバカにしたような目で見やがって! こうなったら今夜、あいつをメチャクチャ犯してやる!
原田が昼間の会社でのことを思い出して、彩花でオナニーをしようとした時だった。
ズボンと下着を脱いで下半身ハダカになると、突然、黒いマントとスーツ姿の男が現われた。
「おめでとうございます! 原田信吾さん、あなたは見事、ハロウィンの怪人に選ばれました!」
「ひええーーーーーっ!」
原田はあわてて飛び退いた。
「ほほう、なかなかご立派なモノをお持ちですな」
男が原田の足のつけ根のモノを見て言った。
オナニーを始めようと思った時なので、イチモツは大きくそそり勃っている。
「誰なんだ、あんた!? どうやって入ってきた!?」
「私の名はジャック・ランタン。ハロウィンの使者です」
「ハロウィンの使者?」
見れば、男は目や口を切り抜いた大きなカボチャを脇に抱えている。
「はい。ハロウィンの怪人の資格を持つ方に、このカボチャをお届けするためにやって来ました」
「言ってることがよくわからないんだけど」
「あれ? ハロウィンのエロ怪人のことはお聞きになっていませんか?」
問われて、ほのかたちがトイレで話していたことを思い出した。
確かトリック・オア・パンティ?≠ニ聞いてきて、女性のパンティを奪い取るヘンタイのことだ。
そのことを話すと、男は大きくうなずいて、
「そうです! その怪人のことです! あなたはその怪人になる権利を得たのです!」
「はあ?」
「私どもは世界中の男性の心の中をさまざまな形でリサーチさせていただいておりますが、あなたはヘンタイ度∞キモさ∞鬱屈度∞女性へのコンプレックス度∞怒り∞オナニーの回数≠ネどにおいて、突出した人物です」
「何かホメられてる気がしないんだけど」
「そして選ばれた人間こそが、このマスクを被る資格があるのです!」
男は持っていたカボチャを差し出した。
よく見ると、カボチャの中は空洞で、下部には穴があり、頭がすっぽり被れるようになっている。
「さあ、選ばれし人よ! このマスクを被って、エロエロなハロウィンの夜をお楽しみ下さい。これを被れば、あなたは女性に対して全能になれます!」
「えっと。何かの悪質なセールスだと思うんだけど、帰ってくれないかな。不法侵入で警察、呼ぶよ」
「あなただって盗聴で法を犯してるのにですか?」
「ど、どうして、それを知っているんだ?」
「だから世界中の男性のリサーチをしていると言ったでしょう」
「ともかく出て行ってくれ! これからオナニーするんだから!」
「いいんですか? このマスクを被れば、あなたが今夜のオカズにしようとしている高本彩花のパンティを手に入れることが出来ますよ」
「えっ?」
「トリック・オア・パンティ?≠アう尋ねることで、女性は悪戯を受ける≠ゥパンティを差し出す≠ゥのどちらかに従わなくてはならなくなるのです」
「そうなのか?」
「大抵の女性は悪戯がイヤなのでパンティを脱ぎますが」
半信半疑だったが、男の持っているカボチャのマスクにはそんな力が宿っているように思えた。
「おや、少しお心が動いたようですね。わかりました。ハロウィンの期間中、このマスクを置いておきますので、もし、その気になったら被ってみて下さい」
こう言うと、男はマスクを置いて部屋から姿を消した。
その消え方は映画の透明人間のようだった。
一瞬、夢かと思ったが、見ると床にはカボチャのマスクが置かれていた。