とわの-2
「理由を言ってってば!」
「言いたくない」
そんなことの繰り返しで
彼は冷静に私を見つめる。
その冷静さに余計腹が立って
涙をこらえた。
「理由を聞かなきゃ絶対に許さない」
許すとか、許さないとか
男と女が別れるのに、そんなものは何の効力もない。
分かっているのに、言葉を荒々しく何度もぶつける。
「美香とこれ以上付き合うつもりはないよ」
そして同じように何度もぶつけられるその言葉の破壊力に
心はズタズタになって壊れそうだ。
「なんで?」
悟の上着を持ったままその場に座り込んだ。
そんな私を冷静に上から見下ろした。
「美香。何度聞かれても同じだ」