友人との再会-3
タクミの意識は一瞬にして
背後の声に引っ張られた。
数メートル先の
店のキッチンからは、
ジャーっと鍋で何かを炒める音。
お皿を食洗機で洗っている音。
それらの音に混ざって
ちづると吉川の会話が
聞こえ始める。
「 ぇーーと〜〜
どうしよ、、。
なんか、今日迷うなぁ〜」
「今日もパスタ?」
「 んーーー、、、
パスタ、、、
昨日とおとといも
パスタだったから〜〜
ぇーーーっ と〜〜 」
「じゃあ、ドリアにしとく?」
「んーー、、、 ぁ。
待ってください、
シチューも捨てがたい、、。」
「 、、、。
早く決めろよ。
オーダーくるだろ。」
吉川は優しく低い声で
笑いながらそう言った。
その後、他の女性の店員も混ざって
雑談をしているように聞こえた。
「タクミ?」
「、 、 ん? 」
健が、タクミに声をかけていた。
タクミは少し焦って健に言う。
「んーーと? なんだっけ?」
「だからぁ。秘密の彼女は
元気なの? って 」
「、 、 、 ん、 」
健は、タクミに気を使って
友達の前ではちづるの存在を
知らないふりをした。
タクミは、
ちづると吉川のやりとりを
聞いて少しぼんやりとしていた。
だが、友達が自分の話を待っている。
タクミが呟く。
「まぁ、、
まだ、付き合ってるけど、、。
どうなるか分かんないよね。
恋愛なんて。 」
「、ぇ? 、、、。
なんで? 」
健が、きょとんとした顔で
そう聞いた。
タクミが呟くように言う。
「、、、いや、 なんか
なんとなく。 」
「 、?
うまくいってない とか?」
「 は?
そんな事、言ってないし。」
「 ? 」
「ただ、、、。
、 、 、、。
あんま、
しっかりしてないっつーか。
イラつく時とかは、、ある。」
「ぇえ?
そんな事ないっしょ〜」
2人のやりとりを聞いて、
友達の1人が健に聞く。
「タクミの彼女、知ってんの?」
「いや、
前にタクミから聞いてたから。」
健は少しも慌てる事なく
そう答えた。
それからしばらく4人は
雑談を続けていたが
タクミの心は沈んでいた。