原爆の夜-5
5.
8月7日学校で、新型爆弾が広島に落とされて、街が全滅したと知らされた。
敵が上陸してきたら、女はみんなやられて殺される。
男は奴隷にされる。だから、女と子供は青酸カリを飲んで自殺をする。
男は、竹槍で敵陣に突撃するんだと言う話が広まっていた。
国民学校6年生の僕は、子供なのか男なのか?
兵隊の訓練をしているし、伝令の訓練もしたから、多分竹槍隊に入るのかも知れない。
冴子から、今日の夜会いたいと言われた。
「いつもの場所に、8時ころ来てくれんかね、大事な話があるすけ」
日が落ちて、鎮守の森に闇が忍び寄っていた。
いつものように本堂の前の階段に座っていると、冴子がやってきた。
「大事な話って、なんだよ?」
「一緒に来てくれんかね」
冴子は僕の手を取って、本堂の裏に向かった。
回廊の下は倉庫になっていて、俵や縄を編む藁が積んであった。
冴子は懐中電灯を点けて、僕の手を引いた。
二人は並んで、藁の上に座った。
「ヒデオ、おらをおまんの女にしてくれんかね?」
懐中電灯の薄明かりの中に、緊張した冴子の顔が浮かんでいる。
おませの僕には、冴子の言っていることが理解できたが、本当に冴子がその積りで言っているのか自信が無かった。
「おまんが好きやけど、僕未だ子供だから冴子と結婚は出来ないよ」
処女を奪った男は、その女と結婚をする責任があると本で読んで知っていた。
「おまんは兵隊の訓練をしちょるし、伝令の役目も果たしたじゃろ、いつ敵が攻めて来るかもしらん。おら、アメリカ兵にやられるのは嫌じゃ。おら、おまんを好いとる、死ぬ前におまんの女にしてくれんかね」
「おらもおまんを好いとるし、僕は多分竹槍隊に入ると思う。僕は命がけでおまんを守るよ」
「ヒデオっ」
冴子がヒデオに抱きついてきた。
「冴子ッ」
冴子の首筋から、何ともいえない匂いが鼻に入ってきた。
頭がくらくらして、ズボンの下でチョンボが痛いほどに勃起をした。
冴子の肩を抱いて、藁の上に押し倒した。
冴子がモンペの紐を解いたので、両手を掛けて尻の下まで引き下した。
冴子の家は郵便局長で金持ちなので、モンペの生地も他の女よりも綺麗だった。