ほころび-3
恵利子は男から放たれた精を小さな口いっぱいに一度は受けとめてから、陰嚢を転がしていた左の掌へと恐るおそる移し替える。
「こんなに…… 」
掌に満たされた白く濁った欲望の塊……
それを見つめる大きな瞳は潤み、奥底にはゆらゆらと妖しい光が揺らめきを増している。
(こんなにたくさん…… ……お兄ちゃん)
自分の迷いから生じた願い、口淫へ応じてなお、惜しむことなく放たれた夥しい量の精液。
それがまるで、自分への思いの丈であるように思えて……
うれしく思えてならなかった。
ぼんやりとした恵利子の瞳が、射精後の陰茎に再び伸びていく。
右手の指のリングが唾液と精液でヌルヌルになった陰茎全体を、ゆっくりと上下に優しくさする。
指先で陰茎の太さや長さ、そこから発せられる熱と何かをさぐる仕草。
それは迷う何かの答えを探し求める為の仕草なのだ。
(あんなにいっぱい、出た後なのに。まだこんなに熱くて硬い…… お兄ちゃんみたい。……やっぱり、恵利子のお兄ちゃんだ)
「恵利子のことを思うと…… こうなるの? だから、どうしても…… 恵利子のことが欲しくて、こんなひどいこと?」
『誰にも渡したくなかった。ずっと前から見てっ、憧れて、恋い焦がれていた。どうにもならない気持ちが抑えきれずに…… こんなに歳が離れているのにおかしいと思われるだろうが、これが偽りのない本当の気持ちだ』
男は告げた。
「ほんとう? ……恵利子のこと、好き?」
『恵利子のことが、ずっと前から好きだった。本当に愛してるから、こんなことをしても…… 許してもらえないだろうが…… 』
男の言葉にまさぐっていた指がとまると、恵利子は強く陰茎を握った。
(…… うれしい)
一度は霞がかった大きな瞳には、再び妖しい光が灯るとメラメラと輝きを増していく。
頬を朱に染め、大粒の汗を浮かべ、幼さを残していた少女の面影が薄れていくと、“おんな”の匂いが漂う。
髪からの甘い香りや少女特有の汗の匂いが薄れ、大人のおんなの匂いがどんどん色濃くなっていく。
男の右手が優しく恵利子の頭に触れると、そっと髪を愛でるように撫でた。
それはまるで恵利子が幼い頃、想いを寄せ憧れた少年の仕草そのままに……
数秒もせず握られた陰茎を包む恵利子の柔らかい掌、細く綺麗な指のひとつひとつが、少女の“こころ”の迷いがはれたことを教えていた。
『大丈夫、恐れることはないんだ。恵利子はひとりじゃない。ほら、手を離してごらん』
男が優しく告げると、恵利子はからめた指を陰茎から緩めた。
そして手皿に溜り冷たくなってしまった精液へ顔を寄せると、小さな唇から赤い舌を伸ばし子猫がミルクを掬い取るように飲み干してしまう。
その言葉に硬く閉ざされていた“扉”、少女の“こころ”が開かれてしまう。
細く白い両腕が男の背にまわされると、しがみつき顔を胸板へ押し当ててくる。
大きな瞳には、ハッキリと妖しい光が揺らめいている。
『入れてほしいんだろ?』
俯き小さく首を動かした恵利子は、その身をベットへ横たえると自ら少しだけ脚を開いた。
ほんの僅かな間隔、想いを寄せる少女への配慮を済ました男は、指先を細い腰に食い込ませるとググッと腰を突き入れる。
「あぁぁっ……ぅん 」
喘ぎに似た震える言葉が響く。
ヌルット滑った亀頭が厚みを増した二枚貝を押し拡げ、一気に膣底へと突き刺さる。
狭いながらも潤った蜜壺はしっかりと陰茎を受容れる。
腰を振る度に密着している二枚貝から、グチュリグチュリと淫蜜が溢れる。
『こんなに熱くなっていたのに、我慢して辛かっただろ?』
「はあーはあーはあー」
荒い息遣いで言葉も出ない恵利子は、二度うなずく。
腰を動かしながら男の両手が、仰向けでも全く型崩れの無い乳房へと伸びる。
五本の指で乳房の柔らかさを味わいながら揉みしだくと、息苦しい声を漏らしていた恵利子の腰が浮くように身悶える。
少女のなかの“おんな”、女の性が目覚めようとしている。
グイっと引き締まった蜜壺が淫蜜の濡れで滑りながら何度も揺れ動く。
「あっあっあっあぁぁぁっ…… 」
恵利子はこらえることを忘れたように、絶え間ない喘ぎ声をあげる。
痺れるような快感に、細くくびれた腰がよじれ内腿が震えている。
「んっぁあん、だめぇぇっ」
左中指と薬指で硬く尖ってしまった乳首を挟みながら乳房を揉むと、ビクビクと蜜壺が痙攣しながら陰茎を締めつける。
右手では恥毛を撫でていた指先で膨らんだクリトリスを探る当てると、親指の腹で圧し擦りあげた。
途端、
「あ゛ううぅぅぅっっ!! もう、もう苛めないでぇ」
揺れ動いていた腰が浮くと、恵利子の口から縋るような声が溢れ出る。
陰茎で満たされ蜜壺、揉みしだかれる乳房、圧迫されるクリトリスへの刺激、それらすべてが恵利子を絶頂へと誘う。
男は責め立てる両手を離すと、細くくびれた腰を掴み長く速いストロークで抜き挿しを繰りかえす。
反った陰茎の先端、亀頭の括れが潤った蜜壺内壁をなぞりあげる。