第22話『本番・花火大会』-2
『直属の後輩ですが、既に数か月を経ているというのに、未だに感情のコントロールが出来ません。 先日寮監様に鞭を頂いたときなど、その場で涙を浮かべる醜態を晒しました。 最下等のオマンコにわざわざいただく指導は、全て温情であり、頂く側には感謝以外有り得ないというのに、涙を浮かべるなど身の丈を弁えない不遜の極みです。 ひいては私が【3番】を甘やかしたことで、思い上がらせたものと気づくに至りました。 た、大変申し訳ありません! いただく指導にすべて感謝の衷心を表現できるよう、一から後輩を鍛え直します! つ、つきましては甘さを排除できなかった私のオマンコが厳しく締まるよう、お慈悲を頂けますでしょうか!』
『私が指導する後輩は時間にだらしなく、入浴時間、食事時間、起床就寝、何かにつけて時間ギリギリまでかかるオマンコです。 シャワーが間延びし、1度Aグループ様と脱衣所で会い、淫らで恥ずかしい全裸を晒す大罪を犯したダメマンコです。 私が率先して5分前行動、いえ、7分前行動を実践し、後輩の範となるべきですが、私自身の行動が遅かったせいで後輩のよき手本となれておりません。 大変申し訳ありませんでした! 今後は時間を完璧に守るよう、私より遅れた行動をとった場合ごとに厳しく指導しますので、お許しください。 あの、決意の気持ちが形になるよう、どうか私の淫らで恥ずかしいチツマンコ、ケツマンコに、先輩方のお慈悲を刻んでくださいませ!』
『学園から預からせていただいている同室ですが、入寮時に宣言した目標、即ち『放屁・放尿・排便・絶頂・放乳の同時達成』への修練が全く進んでおりません。 折りにふれて練習を促すものの、自分がほうったものであるにも関わらず後始末が遅れ、いまだ3度しか練習を試みていない状況です。 このままでは寮内進級が危ういというのに、排泄物の口腔処理を強要できずにおりました。 後輩のため、というよりはわが身可愛さからくる怠慢です。 大変申し訳ありません。 而今気持ちを改めまして、入寮目標達成に邁進させる所存です。 決心が鈍らないようここで宣言するとともに、あたしの怠け心を戒めていただきますよう、臥してお願い申し上げます……』
次々とBグループ生の、総括という名の罪の申告、すなわち罰乞いが続く。 言葉を選ぶBグループ生はもとより、自分たちが罪の原因になってしまったCグループ生たちも、みんなして青くなって事態の推移を見守った。
ひとしきり総括が終わったところで、Aグループ生5人が食堂の隅に集まる。 実際はこの後どうするかも全て決めているのだが、勿体ぶって相談するフリだ。 やがて相談を終え、いかめしく眉根を寄せた【A5番】が前に立った。
『今しがた聞いたコメントを再考するにつけ、ここでオマンコを拡げている方々には、『先輩としての自覚』が足らないことをつくづく感じる。 後輩は先輩を見て育つ以上、ここにいる全員が、常に後輩の手本になる。 とすれば、いつ、誰に、どこを見られても問題ない態度、そして身体を涵養しなさい。 といっても、身体を整えるには一朝一夕じゃ足らないのは当然だから、身体までどうこうしろというつもりはないよ。 けど本当に反省しているなら、姿勢くらいはすぐに修正できるはず……』
シーンと鎮まったBグループ生からは、彷徨う視線といい、オドオドしたな眼差しといい、何を言われるかビクビクしている様子がありありと伝わってくる。 自分たちが叱られる姿を後輩に見られる恥ずかしさ、口惜しさは勿論あるだろうが、それよりは純粋な『不安』だろう。 夏季休暇終了直前にBグループ生が集団で叱られることなんて、少なくとも去年はなかった。 誰しも前例のない事に対しては不安が先立つというものだ。
一呼吸分の間を置き、【A5番】が続ける。
『……今日は、これから『みんなに自分の身体を見せる』――というよりは、『身体を魅せる』の方がしっくりくるな――そんな姿勢を見せて貰う。 なぁに、大して難しいことじゃあない。 自分がどう見られているか、自分がどのように魅せるべきか、自分が何を見せたいのか――そういった細部を常に意識してポーズをとる。 一度ポーズを決めたら、何があってもそのポーズを維持する。 これだけでいいんだから、楽なもんだ』
後輩の視線を一身に浴びつつ喋る【A5番】の後ろで、寮長は食堂のトレイにかかった覆いをとった。 ざわ……
『テーマは『花火』にいたしますわ。 夏も終わりだし、ちょうどいいだろうと思いますの。 わたくしが直接渡しますから、【B1番】から順に取りにおいでなさい。 補足しますと、渡された花火は全部消化しましょうね。 1人につき『花火』と『チャッカマン』、『防火剤』を渡しますから、お忘れのないようお願いしますわ』
寮監に頼んで調達してもらった、大中小、色とりどり、仕掛け満載の花火たち。 トレイの上に、山とばかりに積んである。 寮長がいくつかの花火を掴み、Bグループ生に提示すると、ざわ――、そこかしこで寮生が目をパチクリさせていた。 まさか学園で花火をするなんて考えもしなかったことだろう。