愛の輪舞-11
11.
マユは、海外留学と言う名目で休学届けを出して、出産まで世話になる母親の実家の金沢に行った。
姉夫婦が世話をしてくれる。
父親の教授も「それしかないだろう、お前よろしく頼むよ」と美佐子に任せた。
今はマユの空いた部屋で、美佐子と春夫は逢引を重ねていた。
教授は学会への出席、夜間部の授業、論文や依頼原稿の執筆などで、相変わらず大学中心の生活を続けている。
教授の動向を知る春夫は、教授の留守を狙っては美佐子を訪ねた。
美佐子はマユの部屋で春夫との愛を契りながら、マユがどんな風にして春夫の胤を宿したのか、
破瓜から妊娠までのマユの心と身体の成り行きを思わずにはいられなかった。
春夫と交わりながら、いつしか美佐子はマユに感情移入し、さながら自分がマユで、春夫と愛を交えている錯覚に陥いるのだった。
「春夫さんぅ〜あまり激しくしないでぇ、お腹の赤ちゃんに障るわよぅ」
春夫の肉棒が昂ぶって、カリが傘を拡げ、亀頭の先が子宮をコツコツとノックする。
蕩けそうな快感に痺れる反面、お腹に宿した春夫の子種が気に掛かる。
「何を言っているんだよ美佐子さん、妊娠したのか?」
美佐子は、ふっとわれに返った。(そうだ、私はマユじゃなかった)
「私も、貴男の赤ちゃんが欲しい」
特段の波風が立つことも無く、時間が過ぎていった。
最近、美佐子は、友達などから若くなったと羨ましがられる。
他人に言われるまでも無く、目尻の皺が減って、肌の艶がよくなったと自覚していた。
春夫との営みで、美佐子はこれまでに無い満ち足りた性生活を堪能していた。
あの夜、春夫に膣を舐められて、絶頂した。夫、倫太郎とでは想像も出来ないことだった。
絶頂の後の春夫の逞しい肉棒の責めに、骨の髄まで蕩けるような陶酔を味わった。
夫と娘を裏切る後ろめたさも、それにも増して春夫の愛を求め疼く身体を、止めることが出来なかった。