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調教学園寮夜話
【学園物 官能小説】

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第19話『舐め奴隷たち』-3

「あら。 てっきり『犬』か『猫』にでもなっていると思ったら……」

 仰向けになって身じろぎしない【A2番】を一瞥し、呆れたようにつぶやく。

「せっかく『奴隷』にしてあげるっていうのに、おやまあ、椅子になっちゃったの。 生き物ですらなくなっちゃうなんて、おバカさんねえ」

 口許を歪めた寮監がとった行動は、いかにも安直な行為、即ち『椅子に座る』とは一味違った。 ぐりぐり、ずりずり、ハイヒールでくぐり椅子の穴を踏みにじったのだ。

 んちゃ……れろ……んちゅっ……ぺろれろ。

 穴の向こう側で、【A2番】が舌を伸ばす懸命な気配――寮監の靴底に舌を這わせている。 革の生臭い薫り、こびりついた煤や埃、雑多なゴミが一緒くたになって押し寄せて、口の中はドロドロだろう。 喉の奥までいがらっぽい苦味に冒されているのが想像できる。 少女にとって、今更靴底を舐めるくらいで屈辱も何もあったものじゃあないけれど、それでもやっぱり心穏やかではいられない。 靴を舐める……自分が最下級の立場なことを自覚させる、残酷で嘲笑に満ちた行為なのは確かだ。 そんな自身に対する情けなさをかなぐり捨てるかのように、舐める【A2番】の舌遣いは力強かった。 舌を口に収めるたびに唾をまぶし、丹念に隅々まで舐め清める。 

 ぺろ……ちゅぷ……ぺろ……。

 けれど、そんな【A2番】の意志が素直に評価されるほど世の中は甘くない。 何しろこれは調教であり、躾になる。 要求される水準は、頑張ってできるレベル以上だ。

 パァンッ。

「んむぅ……っ!?」

 無防備に晒した少女の持ち物に、教官のバラ鞭が振り下ろされた。

「届いてないよ。 もっと舌を伸ばす」

 無慈悲に告げる冷たい声。 すぐさま、
 
 パァンッ。

 先ほどより若干力が籠った鞭が陰唇のすぐそばに赤痣を刻む。

「むぅんっ……! んっ、んむっ、んちゅっ、んむぅんっ」

 慌てて一層顔を椅子に押しつけると、少女はつりそうな舌の根をさらに伸ばした。 既に自分は限界まで舌を伸ばしているけれど、そんなM奴隷の都合など御主人様には関係ない。 満足してもらえるまで、身を呈して尽くすのみ。 けれど少女の努力もむなしく、

「もっと」

 パァンッ。

「んんん〜〜〜ッ!」

 オマンコをバラ鞭が直撃し、【A2番】は足首を掴んだ手ごと痙攣する。 足首を放せば人間椅子じゃなくなってしうまうから、必死で掴んだ両手に力を込めた。 一ミリでも長く舌を伸ばすべく、顎を突き出し、再度椅子に顔を押しつける。 拡張した鼻はとっくにペチャンコになり、ふくよかな頬、ほっそりした顎、全部が不細工に平延びだ。 

「んむっんっ、んっ、んっ、んんっ!」
 
「そう。 その調子。 ちょっとでも怠けたら鞭が黙っちゃいないからね」

「んんっ、ん……んっ、んんっ」

 どうにかお許しがでた。 『その調子』……M奴隷としては何よりの一言だ。 既に舌の感覚がマヒしつつあったけれど、少女は舌を引っ込めることなく懸命に靴の裏を舐め続けた。 時々靴の位置が変わったり、寮監の気まぐれでハイヒールの爪先が穴につっこまれたり、ヒールの踵が差し込まれたりしたて、【A2番】はその時々に与えられた部位を舐め啜る。 右靴の次は左靴……ひとしきり綺麗になったところで、臭いサンダル、不潔なスニーカー、蒸れた体操靴、汗まみれの室内履き……使いこんだ靴を履き替えては舐め掃除させる、の繰り返しだ。 【A2番】は自分が何を舐めているか、あくまで舌触りのみなので確信はもてなかったものの、『便所スリッパ』を舐めさせられた時は自分が何を舐めているかハッキリわかった。 ゴム製の、ごわごわした靴底は特徴的だ。 そんな『便所スリッパ』であっても、【A2番】はほんの微かな躊躇もみせず、ペロペロ、レロレロ、機械のように舌を圧しつけて舐め濯ぐ。

 寮監が欠伸しながら最後の靴を『くぐり椅子』から浮かせたとき。 少女の傍らに転がる履物の数は、都合10足を超えていた。


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