全裸で処刑される美女-3
「救急車!」
マギーは派出所の警官にそう叫けんだ。
「はい!」
すぐさま救急車を要請する警官。マギーと華英は地元ではもちろん全国的に有名なコンビだ。警官は慌てた様子で電話した。
「救急車が来るまで車の中で保護するわ。」
相当な野次馬だ。これ以上明子の酷い姿を世間に晒すわけにはいかないと判断したマギーは明子を抱えて車に迎う。
「ほら!下がって!」
華英が野次馬を退かし道を開け何とか明子を車の中に保護した。
「ふぅぅ…」
車内にマギーと明子を残しドアを閉め野次馬達を見ながら溜息をついた。多くの野次馬達はスマホをいじっていた。恐らくSNSに写真や文字をアップしているのだろう。その光景には腹が立つ。
(嫌な世の中ね。自分のインスタの人気上げるためには手段を選ばないんだからね。)
人の不幸もネタにする人間の神経を疑う。そんな中、1人だけ自分を撮っている男に気付く。それがまたイラっとさせる。
「ちょっと!あんたさぁ、さっきからなに人の事撮ってんのよっ!」
華英は肩をいからせながらその男に歩み寄る。
「あ、い、いや…」
突然の事に竦んでその場で怯える男。
「私にもプライバシーがあるのよ!?勝手に写真撮らないでくれる!?」
「す、すみません…」
いかにも草食男子、悪く言えばもやしっ子だ。気弱そうで色が白い。秋葉原に良くいそうなタイプであった。
「ちょっと見せなさいよぅ!」
華英は男からスマホを取り上げた。そして撮られていた写メを見る。
「…」
華英は言葉が出なかった。何故なら捜査をしている最中の自分の写真がわんさか撮られていたからだ。少し引いてしまう。
「な、何なの、あなたは…」
「い、いや…ファンで…」
「ファン??私の…?」
「は、はい…」
「…やめてよ〜、私はアイドルじゃないんだからさぁ…」
呆れる華英。すっかりテンパっていた男は余計な事を口走る。
「アイドルにしては歳イッてますけどね…」
「はぁぁっ!?何ですって!?」
「あわわ…すみません!」
今にも殴りかからんばかりの華英に怯えていた。
「ったく…。んっ??こ、こんなモンまで撮ってるの!?」
華英は目を吊り上げて男を睨む。その写真は、簡単に言えばパンチラ写真であった。野次馬を押しのけ明子を保護しようとした時に撮られたものであった。ズリ上がったスカートからピンクのパンティが顔を出している写真であった。怒り心頭の華英に、男は恐怖の極致を感じたのであろう。
「ご、ごめんなさい!!」
男は華英からスマホを奪い取るとダッシュで逃走した。
「あ!こら!待ちなさい!!」
追いかけようと思ったが、現場を離れる訳にはいかない。華英は唇を噛みながら任務を優先させた。
「今度見つけたら…殺す…!」
人混みの向こうに消えて行った男を悔しそうに睨んでいたのであった。