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不倫の始まり
【熟女/人妻 官能小説】

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不倫の始まり-3

翌朝、エレベーターに乗り込む時間をズラして地下鉄に乗り込み、あの日に香里奈と待ち合わせた喫茶店の駅を目指していた。会社には有給申請を朝一で連絡していた。働き方改革と言う素晴らしい制度に感謝しながら喫茶店を目指して大量に届いたLINEを眺め既読するタイミングを測りながら喫茶店を目指していた。

喫茶店ではモーニングセットを頼み、朝刊に並べるように置いた携帯に新たにLINE通知が届いていた。LINE通知はこれで75件に登っていた。十分な量だ。内容はどうでもいい、香里奈の動揺が伝わる通知量こそが重要だった。通知量にほくそ笑みながら朝刊を眺める振りをして、今日に備えた撮影機材を点検してその時間に備えていた。

10時を過ぎた頃、香里奈に一通のLINEを送った。送信のタイミングで全てのLINEが既読に変わったことが確認できる送り方だった。受信する香里奈が、さんざん送りつけた内容を読まずに送りつけて来たことを理解させる為だった。これで十分。あとは香里奈次第だった。

「今日の11時、この間のロビーで待ってる」

香里奈は即効で既読にしてしまっていた。あとはロビーに現れる香里奈を目撃するのを待つだけだった。10時30分過ぎ肩で歩く香里奈が駅前から現れたのを喫茶店から見下ろす僕は見逃さなかった。香里奈は相当怒っているような足取りだった。ホテルに真っ直ぐ向かわずに駅前のチェーン店の喫茶店に入った香里奈を見届けて僕は喫茶店の会計を済まして香里奈が入った喫茶店に移動していた。

喫茶店の外から香里奈を伺っみた所、1階の奥にあるテーブル席で携帯電話と入り口をしきりに眺めているようだった。待ち合わせ?そう察した僕は、喫茶店に入らず入り口が見える離れたベンチで少し様子伺うことにしていた。入っていく客、出て行く客、全てを見逃さないように入り口を見つめていた。時刻は10時40分過ぎた辺りだった。オバさん二人組みとすれ違うように、香里奈と同じような足取りで急いで入って行った男を見逃さなかった。30代、短髪に細い目、170以上、カジュアルなパンツに尖った革靴を履いた男。こいつか?確かめるように喫茶店に近付いて覗くと案の定、香里奈は一生懸命にその男に話しているようだった。あの男がカタギかどうかは判断できないが、警察ではないことは理解できていた。警察は一人で行動しない。追いかけるように女性警官なり私服警官なりが僕と同じような行動を取るはずだ。時計を見つめて辺りを見回してあたかも待ち合わせする振りをしながら確認したがそれらしい人物は見当たらなかった。誰だ?その答えを考えながら元のベンチで入り口を見つめていた時、LINEに香里奈からの通知が届いた。

着いたわ。いまから向かうね

書き出しで十分にその意図を理解していた。予想通り、肩を揺らしてお店から出てきた男はホテルの方向に向かって急ぐように歩き始めていた。時刻は10時50分。香里奈は第三者に何らかの相談を行い逆襲を狙っていることを確信した。その男がホテルに向かう角を曲がったことを確認した僕は、喫茶店に入り席を探す振りをしながら携帯電話に向き合う香里奈の対面に腰を下ろし、携帯電話に保管してある香里奈との動画を目の前に突き付けて、舐めてんの?と真っ直ぐ香里奈を見つめて意図を確かめた。

「何でここにいるのよ!」
「声がでかい。この映像も音声を出したっていんだよ?意味、分かる?」

絶句する香里奈は、突き出された映像と睨む僕に動くことができないようだった。

「さっきの男。誰だあいつ」
「前のお店のスタッフよ。ねぇ、どうしてここにいるの?」

また連絡する。そう告げて喫茶店を出た僕は直ぐにタクシーを拾い、次の一手を考える為にまずは一通のLINEを送って香里奈の出方を伺うことから始めていた。

「この映像、そのお店に郵送で送り付けてもいい商売になる。分かってるの?それともやっぱりエロいだけの馬鹿な女なの?」

開封した香里奈は、誤解よ。と全く理解できない繕いで誤魔化すことで精一杯のようだった。舐めるなよ。タクシーを降りる前に4枚目の写真を送りつけて午後に備えて定食屋に向かって歩き始めていた。

4枚目の写真は、香里奈の免許証を送りつけていた。香里奈はいつ何処で撮られたかを考えるだろう。その時、あの男は戻ってくる。どうやってその場をやり過ごすかは、香里奈の判断次第だ。香里奈にその場を上手く捌ける器用さがあるとは思えない。その男とデキていようがいまいが一歩間違えは、今度はその男にも揺さぶられ兼ねない状況だ。香里奈はまた嘘を付いてその場から離れることだろう。またしても焦りと不安に苛まれる状況に追い込まれた香里奈は、自分自身でその状態に向かって嵌っていることを理解できるはずは無かった。


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