第16話『球技大会』-1
第16話『球技大会』
夏季休暇、8月の第3週。 寮対抗球技大会といっても、学園生は普段球技に縁がない。 よしんば部活や体育で球技の時間があったとしても、下半身を活用した牝性を発露する場だ。 各寮が公認する球技練習期間は1週間だけで、この期間はどの寮も球技三昧になる。 それは寮同士の対抗心であると同時に、性を伴わない運動に飢えた生徒たちの、運動本能の発露でもある。
【A2番】、【A3番】、【A5番】の3名は、僅かな休憩を除いてバスケットボールに打ちこんだ。 Bグループ生は、代表2名はもちろん、全員でバレーボールの練習だ。 【A1番】が檄を飛ばす中、揃って籠球を追いかけた。 Cグループ生は、寮長の監督の下『転がしドッジボール』に取り組んだ。 練習では攻撃よりも防御に特化した結果、一糸乱れずボールを避けるまでに成長した。 寮祭からの流れもあってか、変に下半身へ気を遣うこともなく、みんなしてスポーツに汗を流した。
土曜日、球技大会前日は各寮揃っての事前準備だ。
湿実寮は第一グラウンドが整備担当になる。 バスケットゴール、得点板、電光掲示時計、ボールを運び、石灰でグラウンドにラインひきだ。 仕上げにグラウンドにトンボをかけ、小さな砂利を1つずつ拾う。 なお改めて言うことでもないが、こういった準備は全て学園作法に準じ、膣と肛門の活用が基本だ。 即ち膣、陰核、乳首、肛門から伸びたロープでバスケットゴールをひっぱり、電光掲示板のスイッチ操作は乳房に結んだ振動感知型リモコンで行い、ボール磨きは膣洗浄液で、石灰散布は肛門経由で、といった具合。 実働部隊はCグループとBグループ生で、Aグループの指揮のもと、整然と作業が進んでゆく。
幽醍寮は第二グラウンドを整えた。 難しいのはネット張りとポール建てで、まず4人がかりでブリッジをつくり、膣に鉄パイプをのせて体育館からグラウンドへ運ぶ。 続いてポールが倒れないよう四方からオマンコを押しつけながら、地面にパイプを連結させる。 ようやくパイプが建ったところでネット張りに移るものの、ネットをピンとはるにはパイプ付のグリップを何度も何度も回すのだが、手を使わずいざオマンコ咥えて回すとなると……1回転が果てしなく遠い。
幽醍寮は上下関係に厳しい寮で、上級生は寮全体業務に一切関わらないのが伝統である。 Bグループ生が直属の後輩を叱咤し、Aグループ生は悶えるCグループ生を煽るだけで、どちらも後輩は手伝わない。 Cグループ生たちは、何度も外れるネットをその度直し、陰唇を真っ赤に腫らしながら、どうにかバレーコートを形にした。
史性寮は第三グラウンドに試合用のコートをつくる。 重たいものを運ばない分、他の寮より負担は少ないし、単純な作業だ。 指示は副寮長の【B29番】が受け持ち、Aグループ生は『水球』の練習にいってしまって誰もいなかった。 作業に滞りが出た場合、責任はAグループ生になる。 ゆえに普通は準備にAグループ生全員が立ち会うのだけれど……寮の動きはそれぞれである。
いざ当日。 3つの寮生がグラウンドに揃う。 体育祭とは違い、開会式や準備体操のようなものはなく、すぐに競技が始まった。 結果と試合進行は以下の通り。
転がしドッジボール:1位史性寮、2位同率、湿実寮、幽醍寮。 人数差を生かし、1人も当てられることなくキッチリ逃げ切った史性寮が勝利をおさめた。
ビーチバレー:1位幽醍寮、2位史性寮、3位湿実寮。 3組エースの存在感は圧倒的で、コンビネーションを鍛えたとはいえ他チームを歯牙にもかけない。 ただし練習の成果か、接戦になった2位決定戦では史性寮が勝ちを拾うことができた。
スリー・オン・スリー:1位湿実寮、2位史性寮、3位幽醍寮。 どの試合も攻守目まぐるしく入れ替わり、どこが勝っても可笑しくない接戦だった。 この時点で3競技とも『提案した寮が勝つ』という、有る意味順当すぎる結果になり、総合1位は史性寮がとって勝ち点6差で他寮が並ぶ。