純愛-1
寝室は新しい畳のイ草の香りに包まれていた。掛け布団を剥ぎ取り、敷布団になだれ込むように抱き合って見つめあっていた。
「好きよ。あなたのこと」
「僕もあなたが好きです。好きすぎて辛いです」
濃厚なキスを交わして気持ちを確かめていた。手を握り指先を確認するように指を絡ませていた。首筋にキスを這わせられて、わたしの両手は頭の上に伸ばされていた。いいのよ好きにして。首筋に顔を埋めるあの人に声に出して囁いてあげていた。
「入れます」
え?と思った時には、既に深く入れられていた。正攻法の正常位で、余計な愛撫は無く自然にSEXをされていた。
「やだ、凄い幸せよ」
入れたまま私を見つめるあの人に腕を絡ませ、せがむようにキスを求めて口付けを交わしていた。舌を絡めながら、ゆっくりと勃起は動き出していた。心の底から、愛おしい男だと認めていた。
喘ぎ声は心のままに任せていた。あの人の呼吸が荒くなり、わたしの胸を持ち上げながら迫るその時に備え始めていた。背中に手を回し、腰のあたりに爪を立てて両足であの人の太腿を挟んで受け入れる体制を整えていた。
大きく息を吸い込んだあの人は一度中から抜き出して、振り下ろすように奥に向けて沈み込ませ射精を始めていた。
「あなたのこと。愛してるわよ」
涙が溢れてしまっていた。優しく腰を振るあの人を見つめながら本当の気持ちだと伝えてあげていた。両手でわたしの背中に腕を回して、肩を持ち上げるように身体を支えてくれていた。
「僕があなたを守ります」
中で出し切ったままのあの人は、わたしを見つめたまま、はっきりした声で私に告白をしてくれていた。涙が止まらなかった。幸せよ。声にならなかった。鼻水が垂れてしまっていた。あの人の太い首で涙を拭うようにしがみついて、しゃくりあげる泣き声を止めることができなかった。
「もう少しだけ、このままでいてね」
鼻声の私は、今の幸せを忘れないように抱きついて中の体温を確かめていた。あの人は、熱い射精で私の気持ちに正面から応えてくれていた。これが本物のSEXなんだろうと涙がまた溢れてしまっていた。フェラは無く、不必要な愛撫も無く、本能のまま身体を交わす。憧れていたけど初めての経験だった。
「ありがとう。もういいわよ」
ゆっくり体を離したあの人は、私の涙を手で拭い腕枕で私を抱き締めるように横になってくれていた。抱き包まれた私は、あの人の脇の下で深い睡魔に抗うことなく、鼓動に耳を澄ませて目を閉じ始めていた。