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元人妻との恋
【フェチ/マニア 官能小説】

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36歳の迷走-1

部屋の片付けを終えた私は、化粧バックを取り出して時間を掛けてメイクを仕上げていた。今日はあの人が住んでいた街に行こう。そう決めたら体か軽くなっていた。洋服はどうしようかと思ったけど、あの人のことだから、スカートじゃないとダメだろう。少し太くなったお尻が入るか心配したけど、なんとかタイトスカートに両脚を納めることができていた。ちょっと、太ったわ。姿見に映る私は、パツパツになったイエロータイトスカートにデニムジャケットを合わせて、大きな胸を覗けるVネックレースのトリミングTシャツで決めていた。

「大丈夫、まだイケるわ」

鏡に笑窪が可愛らしく映る角度で笑い掛けて自分を励ましていた。久しぶり!鏡に向かって両膝に手を当てて下から見上げる角度を確かめていた。Vネックから溢れるような谷間が見えていた。これなら大丈夫。あの人の期待通りよ。そう励ました私は、パツパツのタイトスカートをエロいオヤジに見られながら、男って本当に馬鹿ね。と心で毒づきながら地下鉄であの人の街を目指していた。

久しぶりに降りたあの街は、かなり新しく建物が入れ替わってた。駅前のロータリーこそ変わらないけど、周辺のビルは明らかに最近建て直された綺麗な駅前だった。あの人が好む、昭和の純喫茶が見当たらくなっていた。若いのに純喫茶なんてと思っていた当時だったけど、今なら少し気持ちが分かる。わたしもあの人と同じように地方から東京に出てきている。だから、少しホッとする田舎を感じさせる純喫茶が好きだったんたろう。今なら理解できる。歳を重ねてようやく理解できたことの一つだった。

あの人に早く会いたい。やぁ、佳奈ちゃん。あの当時の通り、早く呼びかけてもらいたかった。私は、記憶を頼りにあの人のマンションに向けて歩き始めていた。

マンションは裏道に面したグリーンの6階建てマンションだった。あの人はここの一番奥の角部屋に住んでいたはずだ。1階の駐車場を周り、あの人の部屋を見上げてみた。

当時と同じように生活感無く、何にも外には置かれていないようだった。まだ住んでいるかもしれない。そう思った私は、急いで奥にある外階段に向かっていた。外階段からあの人の角部屋を見下ろすことができたはずだ。

階段を駆け上がり、踊り場で覗いたあの人の部屋は、まっ白のカーテンが下されたままだった。住んでる。誰か住んでる。嬉しくなった私は、躊躇うことなくインターホンを押していた。

「佳奈だけど。久しぶりです」

レンズに向かって笑って言葉を掛けていた。あの人がでてくるのを楽しみにドアが開くその時を待っていた。

「あなた、誰よ」

全然知らない20代の女の子がチェーンを掛けたまま、少し扉を開けて怪訝に見上げていた。

「ごめんなさい、部屋間違えたわ」

外階段を逃げるように降りることしかできなかった。あの人は何処にいるの?私は泣きそうな心であの人とよく行った街を彷徨うことしかできなかった。


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