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調教学園寮夜話
【学園物 官能小説】

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第10話『進路相談』-1

第10話『進路相談』


 非日常的な時間はあっという間に過ぎ去ってゆく。 通常のカリキュラムから解放される夏休みは典型だ。 Cグループ生の特訓週間が終わったところで、丁度半分が過ぎた計算になる。 

 Bグループ生がいない寮は閑散としている。 認定研修を終えた生徒から順次寮に戻ってくるため、あと数日はAグループ生5人とCグループ生35人だけの夏休みだ。 Cグループ生は専ら苦手分野の勉強――主に数学、時折技術や情報が入る――に勤しむため忙しそうにしている。 一方、既にあらかた履修を終えたAグループ生にとっては、この期間は唯一といってもいい『のんびり』できる時間だ。 Aグループ生にのみ使用が認められるパソコンや、『学園』の図書室から借りてきた本を読みながら、娯楽に興じるもよし、思索にふけるもよし。 本格的に忙しくなるのは2学期からで、それまでは取り立てて急ぎの課題もない。

 そんな現在、Aグループ生5人全員が等しくが関心を寄せるテーマがあった。 彼女たちの『進路』について、だ。 

 パソコンを操作しながら話しているのは【A2番】と【A3番】。

「9月のインターンシップ、どこに申し込むつもり?」

「そうなんだよねぇ……卒業できるかどうかはさて置き、どこか1つを選ばにゃならんっていうのがね」

「どうせなら見込みがあるとこにしたいから、私は『官公庁』にするつもり。 大蔵省や経産省は大学卒業資格がないと厳しいけど、水産庁は『学園卒』でも口があるんだ。 『狙ってみるのも手だよ』、なんて9号教官からも薦められてるんだよね。 せっかくだから、アミも一緒にどうかなって思って」

 ちなみに『アミ』は【A3番】のあだ名で、【A2番】は『アニー』だったりする。

「せっかくのお誘いだけど遠慮する。 ウチはアニーと違って成績よくないんだよ……お役所なんて受かる訳ないじゃん。 それに寮監が薦めてるってのも気に入らないな。 ウチ、あの人のこと好きくないし」

「私だって、特別好きっていうわけじゃないけど……でも、ちゃんと社会人になれてるってだけでスゴイと思う」

「そりゃそうだけどさ……とにかくお役所は遠慮しとく。 といって、進学する自信もないし……Aグループに進級できたのだって奇跡みたいなもんだしね……自分のことはよくわかるんだ。 ウチはこの辺が潮時なんだろうな、きっと」

 そういうと【A3番】は頬杖をついた。 

「潮時って、じゃあ卒業はどうするの?」

「アコみたいに留年し続けるのも億劫だし、3学期に中退して、専門学校に編入するのも悪くないよね」

「そんな……それだったらBグループの時に編入すれば……」

「チッチッチッ。 アニーちゃんは甘いなぁ」

 人差し指を口の前に立てると、【A3番】は左右に振った。

「Aグループからの編入なら、試験免除で初っ端から3回生扱い。 しかもどの専門学校にするか、自分で選んでいいんだからね。 これってかなり美味しいと思うよ。 っていうか、Bグループから編入したら、試験はあるし専門学校は定員に空がある不人気職限定だし、しかも幼年学校卒のパンピーと同じスタートよ? こちとら散々Cで苦労したってのに、割に合わないっての。 ウチの1年返せーって感じ」

「とかいって……ホントは卒業する自信がないだけでしょ」

 口を尖らせる【A3番】を、下から覗き込む【A2番】。

「なんだかんだいってもさ、一回見事に落ちちゃったからナァ……『次は受かる』『もう1年頑張ればいける』なんて、綺麗ごとは趣味じゃないわけ。 そんな風に考えたらさ、無条件で自分を信じられるほどウチは強くないってさ、嫌でもわかっちゃうことってあるじゃん」

「……そんな弱音、聞きたくない。 私たちみんなギリギリで頑張ってるのに……一人だけ醒めるなんてズルいよ」

「んなこと言われてもねぇ……」

「アミらしくない」

 横から睨む【A2番】。 視線を受け、【A3番】は寂しそうにつぶやいた。



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