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調教学園寮夜話
【学園物 官能小説】

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第10話『進路相談』-2

「……アニーはここまでストレートだからさ、わかんないんだよ、ウチの気持ちなんかさ。 Bで1回、Aで1回足踏みしちゃってるんだから……ウチはもう学園5年目なわけ。 嫌でもさ、そろそろ現実を見なくちゃダメじゃん。 それにさ、ここの仕組みって上が空いた分だけ下から進級できる仕組みだから、いつまでもウチがAグループにいたら、その分下が上がれない。 有為な後輩に道を譲るのもまた、先輩の大切なお勤めだって思うでしょ?」

「綺麗事いっちゃって……試験に受かる自信がないだけのクセに」

「だぁから、2度も留年したら、誰でも自信なんかもてないっつーの」

 ポチポチポチ。 【A3番】が人差し指でキーボードをつつくと、全国各地の専門学校がリストアップされたホームページが現れた。 調理、清掃、保育、理髪、理容、按摩、鍼灸、水道管理、道路整備、建築、設計、運送、製造、組立、検査技師、看護、経理、エトセトラ、エトセトラ……現代社会を構成する基本職業ごとに、専門学校名が雲霞のごとく連なっている。

「それをいうなら、アコさんなんて5回留年してるでしょ。 2回くらい、誰でも留年すると思う」

「だぁーかーらー……わっかんないかなぁ、そういうのを言っていいのはアコ本人だけなの。 アニーや寮長みたいに優秀な子が引き合いにだしても、ウチには嫌味にしか聞こえない〜……って、ああもう、この話終わり! インターンをどこにするかだよねッ!」

 カタカタカタッ。 一瞬で何やら大量のコードを入力すると、モニターに『第二学園インターン生徒・受け入れ施設』がズラリと並ぶ。 官庁、旅行、宿泊、観光、商社、物流、港湾、空港、研究、保険、金融、証券、小売、編集、放送、映像、教育、エトセトラ、エトセトラ。 さきほど【A2番】がインターン候補に挙げた『水産庁』も載っていた。 このホームページには、いわゆる公企業・一般企業が並んでいる。 ただし、リストに並ぶ施設の数は『専門学校』のそれと比べて百分の一にも満たない。 つまり、社会人の大部分は専門学校を出て定職につくのが現代の仕組みなので、学園を卒業して大学に入り、Bランク或はAランク社会人として企業に勤められる牝は、数でいえば専門学校経由生徒の100分の1に満たない一握りの超エリート、ということになる。

「アニーと違って、ウチが興味あるのはただ1つ。 『内々定』が貰えやすいかどうか、その1点なのだ」

 【A3番】が内定率に拘る理由。 学園の卒業用件には『インターンで企業から内々定を貰う』という項目がある。 ゆえに実際に企業を目指す目指さないに関わらず、Aグループ生は1つの施設を選び、二学期のうち1ヶ月を該当施設での研修にあてる習わしだ。 仮に学業を完璧に収めたとしても、インターン研修で内々定を貰えなければ、学園を卒業することは認められない。 ゆえに、インターンには『将来の職業選択の参考にする』という前向きな側面と、『卒業用件を充たす』という後ろ向きな面がある。 【A3番】にとって、後者がより切実というだけの話だ。

「ふむふむ……やっぱり斜陽産業が狙いだね。 最低でも50%は超えてくれなきゃ話にはならんのだ」

 【A3番】がチェックしている項目は、インターン受け入れ施設に付帯する内定率だった。 5%、10%、5%、15%……軒並み低い割合が続く。 時折40%、50%台があるものの、あまり聞かない中小企業だ。 官公庁や金融といった人気職業は、軒並み一桁の内定率だった。

「ちょ、ちょっとちょっと! なにそのページ!? そんな情報どこに載ってるの!?」

 隣から【A2番】が身を乗り出す。

「ふふん、蛇の道は蛇って知ってる? ウチだって伊達に学園生やってるわけじゃないからね」

「うわっ……水産庁もある。 内定率、さ、3%……? こ、こんなに低いんだ……」

「確かに低いねぇ。 ウチだったら絶対ここは選ばないけど、アニーはここが第一志望なんだっけ? せいぜい頑張って勝ち取ってね、内々定。 ウチは去年と一緒のジャンルにするわ。 とりあえず雑誌編集で内々定ゲットして、それから先は後で考えて……ここにしよっと。 ふうっ、我ながら去年と全く同じ思考パターンだ。 こういう所から変えてかなきゃらなないんだろうけど、ダメなんだな、これが。 成長してない丸出し感でやんなっちゃう」

 ちゃっちゃと決めてしまう【A3番】に対し、喰いいるようにモニターを見つめる【A2番】。

「あれ? アニーってば『水産庁』にするんでしょ?」

「……もうちょっと考えてから決める。 ねえアミぃ、どうやってさっきのページにいくの? 普通の検索でヒットする?」

「あれあれぇ? アニーさんってば、こういうページはお嫌いでしょうに。 意外と打算で決めちゃう人だったりするわけぇ? まさかねー」

 急に神妙になった【A2番】に対し、【A3番】はわざとらしく驚いた風を装う。 

「もうっ……ゴメン、私が悪かったです。 生意気言ってすいませんでしたっ!」

 【A2番】は深々と頭を下げた。

「だから……意地悪しないで教えてよぉ。 どうやってさっきのページ開けばいいの??」

「しょうがないな……貸し1つだかんね」

 そういうと【A3番】はニヤニヤしながらパソコンを操作した。 改めて内定率をモニターに映し、アレコレ話ながらインターン先を絞り込む。 自分が持っている情報を分け与えるのは快感だ。 普段生意気な同級生が相手ならば尚更である。 もちろん本質的に【A2番】のことが嫌いでないからこそ、教える気になろうというものだ。





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