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調教学園寮夜話
【学園物 官能小説】

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第9話『総括』-3

 てっきり1人1人個別にAグループ生の下を訪れ、装飾を披露して去ってゆくと思っていた上級生側としては、表情には出さないものの、初手から気を呑まれた格好だ。 何のことはない。 披露対象を全寮生に拡げられてしまっては、Aグループ生といえど観客の1人に過ぎない。 厳しい雰囲気を出そうとするも、皆が繰り返す卑猥で間の抜けた、けれど堂々としたポージングを前にしては、ダメ出しをしようにも隙が見当たらず、結局全員に合格を出す羽目になり……寮監がくれた『厳しくするため、全員を不合格にした方がいい』という忠告と真逆の結果になってしまう。 ステージでのお披露目を終えた下級生たちは、通常の全裸に戻っていたが、全員合格の裁定に喜んで抱き合っていた。 Aグループ生としては成り行きに気圧された格好で、苦笑いするしかしょうがない。 それでも自分たちが予想した以上の演出なのだから、合格させないことに拘るのも業腹なわけで、結論を覆すことなく今に至る。

 【A4番】の報告に続き、他の上級生もこの1週間について総括を述べた。 曰く『自主性が伸びている点は評価する』『発想も初年度にしては練れている』『こちらの指摘に対して抵抗が少なく、素直』と軒並み高評価だ。 ただし上級生に対しては『厳しくなりきれなかった』『舐められる余地を残してしまった』『当初の予定を完遂できなかった』と手厳しい。 そうやって自分たちを顧みるAグループ生のコメントに対しては、黙って聞いていた寮監も首肯した。 

「よく分かりました。 つまり、後輩に対する指導面での不行き届きがあった点を認めた総括、ということですね」

 全員のコメントを聞いた上で、寮監が冷たく言い放った。

「不行き届きに関しては、自戒を込めて、ペナルティを課す機会をあげましょう。 寮長さん、代表して罰を乞いなさい」

 どんなに順調に進んだイベントであれ、主催した寮生が指導する側に終始することはあり得ない。 一週間の間後輩を苛める側だった上級生も、最後には寮監に指導される。 Aグループの5人とも、溜息1つこぼさない。 すなわちこれは、或る種の予定調和といえた。

「……『ミノムシ』をお願いしますわ。 今回の不明はわたくし達5名全員ですので、揃って不届きを罰していただけますよう、どうかお慈悲をくださいませ」

「ふぅん……また『鞭』でお茶を濁すつもりかと思ってたのに。 よりによってこのクソ暑い季節に『ミノムシ』なんて、大丈夫なの? 冷房なんて期待しないでね」

「が、頑張りますわ。 よろしくお願い致します」

 一瞬頬が引き攣るも、いつもの典雅な笑顔で頷く【A4番】。 残りの4人はといえば、さすがに笑顔ではないものの、務めて躊躇う素振りはみせない。

 『ミノムシ』とは、早い話が『布団蒸し』だ。 5人をダブルベッドサイズの布団に寝かせ、毛布を被せる。 そうしておいて布団を左右から巻き上げ、5人まとめて布団に包み、ギチギチになるまで海苔巻きに縛る。 そうしておいて布団の中が汗と体温で蒸し風呂になるまで放置するという、簡単で、その分逃げ場のない拷問だ。 1人でもキツイが、5人となると単純に熱源と汗が5倍になり、しかも肉同士が密着するせいで、不快度合も指数関数的に増加する。 しかも布団から解放されるまでの時間は告知されず、一度巻かれてしまえば自力でできることは何もない。 いつ果てるともしれない熱地獄で、ただただ解放を願う時間が延々過ぎてゆく、それが『ミノムシ』の真に過酷な点といえる。 温い拷問を依願すれば更にペナルティのハードルがあがることを見越した、【A4番】なりのギリギリ厳しいペナルティだった。

「言われた通りにするのも癪だけど……久しぶりだから縛ってあげましょう。 そうとなれば全員服を脱ぎなさい。 汗だくになって、余計な洗濯はしたくないでしょう」

「「はい」」

 間の揃った、簡潔な返事。 サッと服を脱いで全裸になると、それぞれ縄、布団を取りにゆく。 自ら望んで罰を受けるのだから、用意は自分たちでするのが基本だ。 

「……」

 テキパキ動くAグループ生を眺めながら、寮監は思う。 今年の新入生はラッキーだ。 後輩は先輩の背中を見て育つもので、上が優秀なら下も自然に優秀になる。 そんな循環が続くよう、余計な箍(たが)を緩ませないのが、如いて言えば自分の役目といえる。 つまり、Aグループ生を苛めるのは、嗜虐的な楽しみを含め、寮の運営に対する必要悪だ。 適度に苛めつつ、適度に甘やかし――何事も限界を見極めて運営することで、好循環は維持できる。 その範たるべきは寮監であり、今年の寮長が自分に従順だからといって、余計な手心を加えてはいけない。 厳しくきっちり苦しませよう……そして限界ギリギリに追い詰めてから、サッと解放してあげよう。

 そんなことを考えながら、縛る縄を握る手に力を込める9号だった。


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