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ガリガル!!
【コメディ 恋愛小説】

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ガリガル!!-5

「…なら安心だ!じゃあ、行くぞ空ぁーっ」
「おーっ!」
「行くぞ千晴ぅーっ」
「お、おーっっ!!」

柚子たちはたくさん話しました。三人とも野球が好きで、自分の好きな選手で盛り上がりました。そして、アイスを食べました。柚子はストロベリー、千晴はチョコレート、空はバニラ。全部おいしそうだったので、三人でトレードしながら食べました。その後、柚子たちはしりとりをしながら歩いていました。
「おかゆ!」
「ゆうま!」
「誰だよっ」
「オレの友達だよ」
「ふーん…じゃあ空っ」
「ま…ま…ママ!」
「またマぁ?…ま、んーっ…」
「違う、お姉ちゃん!兄ちゃん、ママ見っけた!!」
「えっ!?」
千晴が空を降ろしてあげると、空は一人の女の人に向かって走り出しました。
「ママぁ〜っ」
「空っ、大丈夫?」
「うん、お姉ちゃんと兄ちゃんがずっと一緒いてくれたんだよ!」
空と空のママが柚子たちに向かって歩いてきました。近付けば近付くほど綺麗な女性です。ママは目の前まで来ると深々と頭を下げました。
「本当にありがとうございます。本当に…。あの…お名前伺っても…?」
「いやいや、名乗るほど…古賀柚子です」
「な、成田千晴です!」
「柚子ちゃん、千晴ちゃん」
ママがなぜ千晴を『ちゃん』付けにしたのかは永遠の謎です。
「二人とも本当にありがとう。最高の二人ね!」
ママはそう言うと空の手を引いて帰っていきました。最後に空が「バイバイ!」と手を振った姿はずっと忘れられないと思います。
「っはぁ〜!!良かったぁ〜!!」
柚子は両手を思い切り上にあげました。
「うんっ。あ、あのさ…柚子ちゃん…アドレスとか…教えてくれない?」
千晴がびっくりなことを言い出しました。千晴の顔がどんどん赤くなっていきます。
「え…あ、うん!!」
柚子は、千晴がそう言ってくれたことがすごく嬉しくて携帯電話を取り出そうとしました。
だけど、気付きました。千晴には彼女がいるということに。柚子は、取り出しかけた携帯電話をまたカバンに戻しました。
「ダメだよ…」
「なんで?」
「千晴には彼女がいるじゃん。千晴が柚子のアドレス聞いたなんてわかったら、その子悲しむよ。千晴にはそんな気ないかもしれないけど、女の子は彼氏のそんな行動も気になって仕方ないんもんなんだよ?その子に柚子と同じ想いさせたくないんだ。だから、柚子は千晴に何も教えない」
柚子は一方的にそう言うとくるりと回れ右をしました。そして片手を上げて
「んじゃ、さようなら。もう会うことも無いでしょう。お元気でっ」
と言って走りだしました。千晴が「柚子ちゃん、待って!」と言っていたのは気のせいかもしれません…。
その夜、柚子はボンヤリと夜空を見上げ考え事をしていました。Α介のことなどとっくの昔に吹っ切れています。頭に浮かぶのは千晴の顔…。『自分に素直に』がモットーの柚子ちゃんです。柚子はどうやらたった半日で、千晴に淡い恋心を抱いてしまったようです。だけど、それを成就させることは決してありません。千晴には彼女がいるのです。ぶん取ってまで幸せになろうとは思いません。この広い町の中で連絡先も知らない相手とまた出会う確立はほとんど無いでしょう。会わなければこの気持ちも自然と消えていくはずです。消えちゃうのはなんか勿体ないなぁ、と思いながらも柚子はベッドへ向かいました。


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