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ガリガル!!
【コメディ 恋愛小説】

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ガリガル!!-4

「そうか…じゃあ、お姉ちゃんが一緒探してあげる!」
男の子は頷きましたが、なかなか泣きやみません。泣きやませる方が先です。
「ほら見てぇ〜!!ヘン顔ぉ〜」
柚子の顔は七変化です。普段の遊びが役に立つとは…。
「…アハハ、おもしろいーっ」
やっと笑ってくれました。良かった!
「じゃあ行こっか!!」
柚子が男の子に背を向けると、男の子は躊躇せずおんぶをしてきました。
「ねぇ柚子ちゃん、いいの?」
チャラ男が歩いてきます。こいつのこと、すっかり忘れてました。
「何が?二日酔いならもう大丈夫。ありがとう!」
柚子は、タオルを返しました。余談ですがタオルには『柔道魂』と書いてありました。
「違うくて…その、面倒臭くない…?」
チャラ男は声を小さくしました。その言葉に柚子はちょっとムカツキました。
「目の前に困ってる人がいるなら、柚子は助ける。泣いているなら、柚子が笑わせる。別にアンタに関係ないんだから、ほっといてっ」
チャラ男は少し困った顔をしました。
「何か…強いね、柚子ちゃん」
強い…。何ででしょうか…心臓が痛かったのです。
「…ガリガルじゃないって言いたいんでしょ?」
「ガリガル?」
「ガーリンガァル」
柚子は、あの時の愛子の真似をしました。
「女の子の中の女の子…柚子は女の子らしくないって…そうなんでしょ」
「タオルありがと。ホント助かったわ…じゃあね」
柚子は歩き出しました。絶対に振り返ったりはしません。
「…ねえ、名前何て言うの?」
柚子は後ろの男の子に聞きました。
「宮城空だよ!!」
「空かぁ…格好良い名前じゃん!」
「わぁーい、ありがとっ!ねえ、お姉ちゃん…泣いてるの?」
「え?」
「涙…泣いてる?」
柚子は…泣いてました。空の言う通りです。やっぱり、そのままの柚子じゃダメなんだ…引かれるんだ…女の子らしいって何?…柚子は女の子だよ…捨ててるって…そこがいいとこって意味わかんないよ…柚子は…誰からも愛されないのかな…。そんなことを考えると、悔しくて、恥ずかしくて、悲しくて、もどかしくて涙が溢れてくるんです。空が背中でバタバタ暴れ、降ろしてとせがみました。そうしてやると、空は柚子の足元に立って柚子を見上げました。
「見てっ、お姉ちゃん!!ヘン顔っ」
空は一生懸命可愛らしい顔を崩していきます。空なりにどうにかして、柚子を泣き止ませようとしているのです。その健気な姿を見ていると自然と笑みがこぼれました。
「ふふっ…ありがとう。ホラッ、もう泣いてないよ!」
柚子は空の頭を撫でました。
「良かったぁ!…あ、さっきの兄ちゃんだ」
空が指差す方向を見ると、チャラ男がこちらに向かって走って来ています。
「…チャラ男、何しに来たの?」
「ち・は・るっ!!…手伝いに来たの」
「何をっ?」
柚子の問い掛けには答えず、チャラ男は空を軽々抱き上げ自分の肩に座らせました。
「空っ」
「この子ソラっていうの?どうだ、空っ!!すごいだろっ」
「うんっ!!高ぁぁいっ」
空は肩車をしてもらってとても楽しんでいるようです。
「柚子がおんぶでも良かったのに…」
「おんぶよりこっちの方が見渡しやすいじゃん。それに柚子ちゃんは女の子でしょ?いくら子供でも、長時間おんぶするなんてキツイよ?」
女の子…チャラ男は柚子を女の子と言ってくれました。トクントクンと小さいけれど確実に柚子の胸は高鳴りました。
「そっか…」
「よし!今日はとことん柚子ちゃんに付き合いますっ!!」
「…!!あんたまさか、これで柚子に借り作って、柚子にあんなことやこんなことする気なんじゃ…」
「しねぇよっ!それにオレ、実は超一途な彼女いるから安心して!」
聞きましたか?彼女がいるそうです。なぜかちょっとだけ気分が落ち込みましたが、悟られるわけには行きません。


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