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ニカイノカノジョ・サンカイノカレシ
【OL/お姉さん 官能小説】

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カレノヘヤ-2

「課長のシャツですよ?」

「それは知ってる。そうじゃなくて、男物のシャツ着てるルカがいいっていう意味。それに、ここにいる間は、課長はやめなさいって言ってるでしょ?」

 ここに初めて来て、抱かれている最中にリクエストされたこと。課長ではなく、名前で呼んで欲しい、と。ルカという呼び名は、課長がつけてくれた。歴代の彼氏ー片手で数えても余る人数としか付き合ったことないけどーには何と呼ばれていたか聞かれ、ハルカとかハルが多かったと答えたら、少しの間のあと、ルカって呼んでもいい?と。頷いたら、満足そうに微笑んで頭を撫でてくれたのだ。頭を撫でてもらうのは、セックスして繋がっているよりも好き。課長の少し厚みのある手で撫でてもらうのは、至福の時。最近職場でも2人きりだとルカと呼ばれるのがちょっと困りモノだけど。誰かに見られたり聞かれたりしたらと思うと気が気じゃない。

「できれば中は何もつけないで、ボタンも閉めないでもらえるともっといいんだけど」

 そうボヤきながら、次々にボタンを外していく。

「まだ明るいから…」

「オジサンとしては、たまには明るいところで抱きたいんだけど」

 そう言いながらもテーブルの上のリモコンで照明を最小に落としてくれる。こういう優しさ、というか余裕が好き。ありがと、と抱き締める。ちょっとおっきなクマのぬいぐるみみたい。でっぷりしてるとかじゃなくて、筋肉質のクマって感じ?がっしりとした課長の身体に包まれていると、何だかホッとする。正直、セックスは嫌いじゃないけれど、それよりもこんな行為そのものの前や、お互いに果てた後の触れあう時間が好き。課長は、終わったあとすぐに後始末をするけれど、後始末が終わるとしばらく抱きしめてくれるから好き。

「ほら、またおっきくなってきちゃった」

 手を捕まれて課長のそこに誘導される。確かにすでに硬くなっている。

「さっき出したばっかりじゃないですか」

「うら若き女子が出したばっかりとか言わない。でもルカとだと、すぐ元気になる」

ーじゃあ、私以外だったら?と聞きたくなるけれど、聞かない。一緒にいる間は、愛されていることを実感していればいい。少なくとも、今この時は愛されていると感じられるのだから。

 課長の手に比べると、随分と薄っぺらくて小さな手で、それを包むようにして上下に動かす。デニムの上からの感触は、いつもとはだいぶ異なる。それでも課長の気持ち良さそうな顔にホッとする。

「ルカ、直接触って」

「ん…脱いで」

「ルカが脱がせて」

 あ、始まった。課長の駄々っ子。立て膝になり、Tシャツの裾に手を忍ばせてベルトをはずす。ボタンを外して、ファスナーを降ろすとそこからは課長も協力してくれた。

「たまには一緒にシャワー浴びるか?ってルカは浴びたばっかりか」

「バスルームは明るいからイヤです」

「言うと思った。全くこのお嬢さんは。ここに来ると冷たくなるよなぁ。ツンデレってこういうこと言うのか?」

 立て膝のままの腕を掴み、立ち上がらせると頬をムニムニとつつく。ほっぺたがお気に入りなんだそうだ。

「ツンデレとはちょっと違う気がします。むしろ、課長のほうがツンデレだと思いますよ?」

「だーかーらー、課長じゃありません」

 頬へのツンツン攻撃がムニーっとひっぱり攻撃に変わる。

「いたたっ。謙一さんのほうがツンデレですっ。平日の喫煙所でお会いする謙一さんとここにいる時の謙一さんは同一人物だとは思えませんっ」

「そうかぁ?じゃあルカはどっちのオレが好み?」

「…どっちも好き」

「まったくもう。可愛いお嬢さんだ」

 満面の笑みで抱きつかれたら、悪い気はしない。

「あ。買い物、冷蔵庫に入れるものないですか?」

 課長が通勤で使っているバッグの横に、私も寄ったコンビニの袋があるのが目に入った。

「お、忘れてた。明日のパンとハムと、アイスかってきたぞ」

「わーい、ってアイスはすぐに冷凍庫入れなきゃダメですよ?」

「ごめんなさい」

 ちゃんとごめんなさいが言えるところも好き。ちょっとしゅんとした顔も可愛い。

「しまっておくので、先にシャワー浴びてきますか?」

「えー、一緒にシャワー浴びてくれないの?」

「明るいからイヤです。それにお風呂場は声響くし」

「ほー。お風呂で声が響いちゃうようなこと、して欲しいってこと?」

「いえ。話し声とか、お隣に丸聞こえになっちゃうんじゃないかと思って」

 たぶん赤面して狼狽えるのを期待していたんだろうけれど、そうは問屋が卸しません。

「はい、さっぱりしてきて下さい。じゃないとまた脇をくんかくんかしますよ?」

「うわっ、ここに変態がいるー。全くオジサンの加齢臭と汗臭いのの何がいいんだか」

 万歳をさせて、Tシャツを脱がす。呆れながらもされるがままの課長が可愛い。

「変態で結構です、って謙一さんは加齢臭もしないし、汗臭くもないです。ほら、早く入ってきてくださいな。出てきたらすぐ飲めるように支度しておきますから」

 トランクス1枚に靴下というちょっとおマヌケな格好の課長の背中を押すようにバスルームへ誘導した。その間に課長が買ってきたものを片付け、自分が買ってきたものを出す。数少ない食器に、マリネとサラダを盛り付けて、唐揚げはシャワーの音が止まったらすぐにスタートボタンを押せるように電子レンジをセット。缶ビールと缶チューハイを1本ずつ冷凍庫へ移してから、換気扇のスイッチを入れて一服。
 そういえば、課長に初めてキスをされたのは、ここだった。初めて抱き締められたのも。


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