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〈不治の病〉
【鬼畜 官能小説】

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〈不治の病〜治療用献体・笹木希〉-10


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その520B号室には、もう“皆”が集まっていた。

囚われの白衣の天使はベッドボードの両端に麻縄で手首を繋がれ、その腕には点滴が射されていた。
白衣の裾からはカテーテルが這い出ており、それはベッドの横に下げられた排尿袋へと繋がっている。
まだ排尿の量は少なく、袋の隅に溜まるのみ。

その入院患者らしい姿にされてしまった天使の傍らには婦長がおり、その周りを患者達が囲んでいた。


『貴方達も酷いコトするね。この子は婚約者が居るんだよ?』


婦長はそう言いながらも、何の感情も見せなかった。
若くて美しいナースを憎んでいるのか、それとも〈守秘義務〉を守るだけで大金が貰えるからと納得してるのか……。


『婚約してたのかあ……そりゃあ可哀想なコトしましたね。ところで婚約者の名前は知ってるのかい?』

『………健二……』


ぶっきらぼうに答えると、婦長は個室から出ていった。
そして入れ代わるように事の首謀者であるオヤジが入ってきた。
悪鬼達の宴は、ようやくにして始まるようだ……。


『うわ〜、寝顔でも凄く綺麗だ……今までで一番じゃない?』

『へへ…この顔が今にグチャグチャに歪むんだ……た、堪らないねえ…ヘッヘヘへ……』

『婚約者には悪いが“コレ”は俺達専用の愛玩動物なんだよなあ。もう何したっていいんだ……クヒヒヒ!』

『こんなイイ女を一人にしてる男が馬鹿なんだよ。かっ拐われても文句言うなってんだ』


わざわざ自腹を切ってまで入院してきた男達は、眼下で寝そべる希を見て興奮している。
施術された身体を白衣で隠している、哀れな天使を……。







『……まだギャグを嵌めねえのか…?』

『少しくらいは声を聞きたいですからねえ。それにちょっとだけなら悲鳴が漏れても大丈夫でしょう?』


希の目が少しだけ開いた……笑気ガスの効果は持続性が弱く、それを示すように瞳は完全に開き……ズラリと並ぶ患者達の顔に希は驚くと、跳ね起きようと頭をグンッと擡げた……。


「は…ッ…う…いッ!?こ…此所…ッ?」


見覚えのある室内に見覚えのある患者達……希は記憶を頼りに今の状況を理解したのだが、その恐ろしさに舌も声帯も固まってしまい、上手く声を出せなくなっていた……。



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