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貧困娼年の憂鬱
【ショタ 官能小説】

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The depression of a poor boy-4


暗がりに眼が慣れたせいか、少年の躯の隅々までが露わに目視できる。
顔は、美貌。ざんばらに切られた長髪のせいで隠れていたが、整った鼻筋は美しく瞳は吸い込まれそうなほど深い。ちょっと三白眼ぎみな瞳を縁取る睫毛は風を起こすがごとく。

その四肢は思ったよりずっとしなやかで、肘と膝小僧を除けば磨き上げたように滑らか。女なら「もち肌」と呼ばれても不思議はないほど柔らかく、しっとりとしている。痩せているのに骨張ってはいないしどこか丸い感触。ウエストはないけれど、そりゃ当たり前だ。

それに、どこか日本人離れした鳶色の肌は蠱惑的。
陰茎さえ隠してしまえば立派にちょっとオリエンタルな美少女で通用する。素敵なのは少女のようなでっかい尻とは無縁だって事。小さくて、締まっている。その上、尻の後がキュッと上げっているのが得点。

「君、綺麗って言われた事ないの?」

「えっ!ええっ!そ、そんな事、一度だって。みんな、チビの痩せっぽちでみっともないって」

少年は両手で抱えるようにして胸を隠す。
ビルの谷間から吹き込んできたのだろうか?穏やかな夜風が少年の髪の毛を揺らした。それはなんとも儚げで、悲しい。
男はこの少年を幸福にしてあげたいと心の隅で思った。
都会の中の真空地帯。そのさらに隠された闇。いいじゃない、これ。

「えっと、なんだっけ?……『僕の役に立つ』事をしてくれるんだよね?」

「そう、ですっ。あ、あの、買い物に行くとか、そう、マッサージするとか」

時々命令されて母親のマッサージをしていた事を少年は思い出す。
時間はかかったけど、一生懸命にやっていたら母親に「なかなかいいじゃない」って褒められた。
そう、何かしてあげられるとしたら、それが一番だ。

「うん。マッサージかあ。それもいいかな」

「はいっ!ボク得意ですっ!上手いって言われてます」

「すごく凝っているところがあるんだなあ……一カ所だけ」

「どこですか?肩ですか、背中ですか、腕とかっ」

「近い。まあ、近いな。これなんだけど」

男はこの展開を予想していたのか、ちょっとジーンズを開いただけ。
すでに肉を喰らわんばかりの怒張がそこにそそり立っていた。
少年はそれを零れ落ちそうな大きな眼を見開いて見つめる。

「………病気、で、すか?これ、腫れちゃってますっ」

「だからあ。これが凝ってるの。手でさすってくれると嬉しいなあ」

「は、はいっ!や、やった事ないけど。こ、う、ですかっ?」

「そこ、根元から先っぽまで包むみたいにして……そうそう、上下させる。そんな感じ………あ、指で時々くすぐるみたいにすると楽になるんだ。そうだ、もう片手はここ…下の袋のところの裏側をコロコロって転がす感じ」


「あのー……なんだか、さっきより、腫れちゃって来たんですけど」

「いいのいいの。それ、効いている証拠だから。それよりこれ、酷いみたいなんでもっといいマッサージお願いできないかな」

「はいっ。出来る事ならなんでもしますっ」

男はこの言葉を待っていたかのように艶然と微笑んだ。

「じゃ、口で舐めて」

少年の手が止まる。少年は怯えたような、怪しむような顔で男を見つめた。

「え、そん、そんなのっ」
「俺の役に立ちたいんだろ?パンとコーヒー牛乳飲んじゃったの誰?俺の夕飯たべちゃったのは誰かなあ?」

「そ、それ、は。ボク……です。ご、ごめんなさい。全部食べちゃいました」

「これはさあ、さすがにスペシャルだと俺も思う訳。だからさ、ここからは取引って事でどう?」

「と……取引って、なんですか」

「ん、これっ」

男は銀貨を二枚指に挟んで少年に見せる。



お金。何でも変えてしまう万能のもの。90円のコロッケを2個買って消費税払ってもお釣りが来る。

混乱。

でも、ママが言っていた。「働く」って事はお金を稼ぐこと。汗を流してこの紙をたくさん貰うために誰もが頑張っている事。
つまり、それは。頑張って貰う価値のあるものだ。
じゃ、今までのはパンとコーヒー牛乳の分。これから先は「働く」って事。
翠の心の中で答えが出る。働けば、もう飢えなくてもいいという希望。

それは、なんて素敵な事なんだろう。


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