忘我2-2
「田倉さんにどのくらいここを弄くられた」
「んふぅん、はぁん……」
恥ずかしくて答えられない。アナルセックスが可能であることは知られたくはない。でも岩井に看破されるのは時間の問題だろう。
ヌルッと指先が潜り込んできた。
「ひぃんッ」
脳の中を棒でかき回されているようだ。腸壁の粘膜に強い刺激を与え続ける。指先が簡単に潜り込んだので悟られたかもしれない。内部で指がくの字に曲がった。腰から背筋に快感が走る。引き抜かれた指がすぐに練り込みながら潜り込んでくる。
「あんッ……あんッ……あぁんッ……」
声が止まらない。内部をぐるりぐるりと刺激したあと、不規則なピストン運動に変わる。
「よーく締まる尻穴だ」
(こ、これは……夫のペニス……)
絶望的な状態の中、不意に頭によぎり、たちまちエクスタシーに達した。「ヒ、ヒィーッ」岩井の肩に噛みついて背中に爪を立てた。
括約筋が収縮しているのに岩井は指を増やした。不意に胯間が生ぬるいことに気づく。知らぬ間におしっこを漏らしていた。
乱暴にソファーに転がされた。岩井はぶつぶつ言いながら立ち上がり、ビショビショになったふんどしを解いている。髪の毛をつかまれ、耳元でブンッと音がしたとたん、すさまじい衝撃で気を失った。
気付くとそこは広くて豪華なバスルームだった。
湯の中で後ろ向きで抱かれている。
「あれっぽっちのことで、小便を漏らすとは、敏感な躰よ。しかし、ワシも短気でいかんのう」
岩井が宛がっているタオルの中に氷が入っているのだろう。叩かれた頬が冷たい。湯船の脇にある銀色の容器はアイスペールだ。
「尻穴を確認して分かったが、腹の中を綺麗にする必要がある」
頭部を抱え首をグイとひねり、羞恥に涙を流す顔を見る。「それにしても、ずいぶんと尻穴が敏感だのう」そう言って、アルコールとタバコとチーズにおいの混ざった舌を口中に滑り込ませてきた。口の中の粘膜もことのほか敏感だった。乳房を揉みほぐしていた手が性器を愛撫する。太い舌が口中で唾液を混ぜ合わせていく。
自分の胯間にペニスがそそり立っている。ずっと勃起していたのだろうか。得体の知れない何かが腰から脳に迫り上がり、岩井の舌を強く吸ったときキスが解かれた。満たされない寂寥を置いてきぼりにして岩井が立ち上がった。岩井の腕の中で丸くなる。
湯船の脇に敷かれたマットレスに寝かされる。
「どのみち使うのだ。早くから慣れた方がいいだろう」
白いバケツの中に巨大な注射器が見えた。
田倉は奈津子の体の中で果てたいと言って、逢えば必ず浣腸を施した。トイレの中にまで入ってくる田倉の目の前で、すすり泣きながら排泄したのだ。
横臥の状態で体を小さく丸められた。お尻を割り、アヌスと性器を指先で広げられた。
「卑猥な形の尻穴だ。周りの毛は田倉さんに剃られたのか」
岩井の言ったとおりであった。毎回アヌスのまわりの毛をチェックされた。陰毛も調えられた。
カチャカチャと音がする。ポンプで液体を吸い込む音。田倉はいつもお湯を使用した。
岩井の指先が膣内を掻き乱す。指を抜きアヌスに入れ替える。
やはり岩井の指の太さは夫のペニスと同じ大きさ。こんな状態でまだ夫のことを思う。何という淫らな女だろう。ジンジンと下半身が熱くなる。
アヌスから指が抜かれると生暖かい液体が腸内を満たしていく。たった今、今日初めて会った男に浣腸されているのだ。あまりの羞恥であごが震えた。
「じっとしていなさい」
「うん……ふぅん……」
口から空気が漏れてしまう。
田倉は一回だけだったが、岩井は二度三度と注入した。お腹が膨れてたちまち苦しくなる。
このままだと大変なことになる。脂汗をたらし、岩井に訴えようとしたときヒョイと抱き上げられた。
「一度は見ておくか」
抵抗しようとするが体が動かない。
大鏡の前で小さな子供におしっこをさせる格好で抱かれた。アヌスを開拓した田倉でさえしなかった行為だ。
「……ゆる、して……」
涙を流し、ろれつの回らない口で訴えるが無駄だった。鏡に映る性器が生々しい。さんざんいじくられたせいでめくれ返っている。岩井の視線がその下方に移動する。
「腹の力を抜きなさい」
魔法のような岩井の言葉に体が反応した。必死で窄めていたアヌスが勝手に開いてしまう。凄まじい音を消したくて必死で声をあげた。
「次からは便所でさせるとしよう」
その言葉に打ちのめされた。タイルの上の無残なありさまを目にすることはできなかった。
ホースで洗い流しながら、「ここへ来たのは娘のことだったな」と言った。羞恥と哀しみに打ち震えつつも愕然とする。恵のことを考えもしなかった自分を恥じた。
「娘のことは心配なくていい。だからお前に来てもらったのだ。ワシが欲しいのは、この体よ」