春の公園-1
春休み最後の土曜日、あたしは公園に出かけた。麗らかという言葉が本当に分かるような日だった。土手にぽつぽつ咲いている赤い花を見ると、あたしは着く前から嬉しくなった。
土手の小道は、公園がある林を回っていく。あたしは真っすぐ緑の林に入る。目的は、何もしないこと。何もしない時間は、家にいても見つからない。
この日、あたしはパンツを穿いてこなかった。裸でここを歩けたなら、きっととっても素敵だろう。
公園に出たあたしは足を止めた。誰も居ないはずの所に人がいる。高校生くらいの男の人だった。部活動のユニフォームなのか、自分の服なのか、運動用の白い半袖半ズボンで横になっている。眠っているのが分かったあたしは近くへ寄ってみた。こんな歳上の男性を、こんなに近くで眺める機会はあたしにこれまでなかった。
美しい顔の側にしゃがんでみてから、女のところを寄せてみた。今この人が起きたらどうなるだろう。寝息があたしのところにかかってくる。女のよだれがどんどん出て、あたしのにおいは濃い筈なのに、男の人は平気で眠っている。
あたしは悪い癖を止められなかった。
男の人のズボンがするりと下がると、太い芋虫そっくりの、重そうなおちんちんがぽろんと飛び出した。ひんやり湿った袋の中の二つの塊はプラムくらい大きい。嬉しくて堪らなくなったあたしはすぐに一つずつ口に吸い入れた。男の人の鼻にお尻の穴を当ててやったら、おちんちんが硬く立ち上がった。皮の捲れていくのが何だか痛々しく見えたけれど、すっかり剥けて張り出した首は、男らしくて素敵だと思った。
あたしはおちんちんを口に入れた。そうして汚れた首の周りを舌で掻きとった。塩辛かった。臭かった。でも体を止められなかった。男の人の顔は、あたしの女のよだれで、一面べとべとに濡れてしまった。
こういう事を続けられたら、女の友達なんか要らないと思った。
あたしのにおいを嗅いで、あたしの口に、男の人は自分の命を差し出した。喉が鳴るほどたくさん呑んでも命は止まらなかった。血のように噴き上がる命が、咽せるあたしの髪も顔も白く濡らした。男の人に浸されて、自分がそこへ溶け出ていくようだった。あたしは男の人のにおいにうっとりとなった。男の人と一つになったと感じた。
ゆっくりとした河の面に陽射しがちらちら光っている。暖かい春の土手を歩いて帰るあたしを花より濃い香りが包んでいる。
悪癖なんかじゃなかった。あたしはずっと淋しかったのだと分かった。男子とは一つになれることをあたしの体は知っていた。一つになれたら淋しくなんかない。知らない男の人とだってこんなに嬉しい。これで気持ちが通じていたら、それは本当の友達に違いない。