プロポーズ後-2
***
5日前。
タクミの部屋で、
ちづるは「結婚して」
と言われた後に眠ってしまった。
タクミはベッドの上で
あぐらをかいて座っている。
背中を丸めて落ち込んだ様子で
眠ってしまったちづるを眺める。
「、、、、、、。」
『 結婚は 出来ません 』
、 、 、、 なんで?
『 私は 向いてないから 』
いや
いやいや いや
俺とは
結婚生活した事ないのに
向いてるか 向いてないか
なんて
まだ 分かんないじゃん
「、 、 、、、! 」
それとも
これか?
こんな
安物のアクセサリーで
プロポーズなんてっ !
、 、 、、的な ?
「 っ はーーーーー、、、」
タクミはうなだれて、
ため息をつき
自分もちづるの横に寝そべる。
上は制服のシャツに
下はスウェット姿のタクミは
部屋着に着替えようか一瞬考えたが
気持ちが沈んでいるせいか、
気力が沸かない。
面倒くさそうに
そのままの格好で
2人の身体に羽根布団をかけた。
ちづるは、
上は白いニット
下はスカンツの洋服のまま、
タクミの方をむいて
スヤスヤと眠っている。
長い髪で丸くなって寝ている顔は
少女のようだった。
タクミの鼻とちづるの鼻が
10センチの至近距離。
タクミはちづるの寝顔を
恨めしい気持ちでじっと見つめる。
「、 、 、、、。」
とりあえず
話し合わねば
全っ然 !
「納得、、
出来ないんですけどーー、、」
しばらく睨むようにちづるを
見つめていたが、
ちづるの寝顔は見ているだけで
気持ちが穏やかになり
静かに眠りに落ちた。
☆☆☆
ちづるは
朝方4時頃に1度目を覚ます。
目を開けて、
眠気眼でぼんやりしている。
タクミの背中が目の前にある。
「、 、 、 、、、。」
少しキョロキョロと部屋を見て、
タクミの家に来たことを思い出す。
「、 、 、、ふぅ 。」
寝ちゃったんだっけ 私
、 、そうだ
いっぱい 泣いちゃって
エッチも
、 、 あ 、!
ちづるは、
パッと枕の横を見る。
真っ白な正方形の小さな箱。
それに手を伸ばし蓋を開ける。
うつ伏せで、
嬉しそうに中のブレスレットを
眺めてニヤニヤする。
タクミの言葉を思い出す。
「、 、、、。」
『 結婚して 』
、 、、 なんか
今が
1番幸せな時かも
私
箱に蓋をして、また大事そうに
その箱を枕の横に置く。
が、自分の寝返りで
箱を潰してしまう事を心配し、
もう1度箱を持つと
そっとベッドから出て
タクミの勉強机の上にその箱を置いた。
そしてまた、ベッドに戻る。
モソモソとベッドの布団の中で
タクミの背中にくっつく。
目を瞑るがまだニヤニヤしている。
「、 、 、、。」
タクミ君 温かい
大好き
ちづるは、
幸せな気持ちで
そのまま眠りに落ちた。
☆☆☆
朝7時頃。
ちづるは目を覚ます。
勉強机に置いてある
目覚まし時計を見て、
少し慌てて起きながら
寝ているタクミに声をかける。
「 タクミ君、私
1回家に戻るね! 」
1度、そう声をかけたが
タクミはまだ寝ている。
今度はタクミの肩を
叩きながら声をかける。
「 ねぇ、、タクミ君、、
私 仕事行かなきゃ 」
「 っ んーーーー? 、、」
「私、行くね?
あれ? スマホは、、
家だ っ!
起きれて、良かったぁ 」
ちづるは
少し慌てながらベッドから出て
壁際にかかっている
黒いコートを羽織りながら、
机の上のおかゆを見て言う。