A:5-1
翌日もまた、美衣奈は拷問部屋に通された。もっとも、美衣奈には日時を記すものなど一切与えられておらず、当然外の様子など覗うこともできないので正確な日時などわからず、翌日ということ自体合っている確証などなかったのだが。
部屋に入るなり全裸にさせられた美衣奈は、シングルベッドほどの大きさのある木製台の上に四つん這いで拘束された。とりあえず昨日受けた拷問による傷は、Bの適切な処理によって右太腿裏の傷が少し目立つ程度で収まっているようだ。
大きく開いた脚部は、足首から膝までをぴったりと台の上に縄で貼りつけられ、それより上は直立させられ、ちょうど膝立ちのような体勢に。上半身は腕を後ろ手に縛られると、首と胸部に縄を掛けられて、顔から大きな乳房までを押しつぶすようにきつく台に貼りつけられた。
お尻だけが異様に高く突き出されていて、その姿はまるで種付けを待つ乳牛のようだと、Bは傍から勝手な感想を抱いていた。
「牛みたいだな」
「間違えちゃあいけませんぜBの旦那。こいつはブタでやんすよ、ブ・タ!」
「変な口調やめろ気持ち悪い」
「ちょっとは乗ってくれてもいいじゃん!」
口を尖らせてAは美衣奈の付き出されたお尻にビンタを食らわせた。八つ当たりの暴力に、小さく悲鳴を上げる美衣奈に構わず、もう一発ビンタを尻に打ち込むと、Aは用意していた器具を手に取って彼女に迫った。
「おいメスブタ、今日からずうっと調教の毎日だ。どうだ嬉しいだろう? 嬉しかったらぶうぶう鳴きながらケツ振ってみろ」
「ぶ、ぶうぶうっ! 嬉しいですっ! ご主人様に調教してもらって、メスブタ美衣奈は幸せです!」
「よしよし、じゃあそのままケツ上げてろよ?」
「ぶうっ! お、お尻あげてますっ」
高く掲げられたアナルに、Aは手にした器具……浣腸器のノズルを挿入した。
「ひうっ!」
肛門に伝わる異物感に美衣奈は震えた。つい上半身を起こそうとしてしまうが、それはきつく縛られた縄によって封じられてしまう。
「しっかり洗わないとなあ」
浣腸器は1リットルもの容量がある大きなものである。もちろん、シリンジ内にはたっぷり全量の1リットル吸い込んである。ゆっくりとプランジャが押し込まれ、グリセリンの混ぜられた透明な浣腸液が美衣奈の腸内へと流れ込んできた。
「あううぅっ、お、お腹がぁ」
1リットルの浣腸液が送り込まれると、外からでもはっきりと美衣奈の腹部が膨らんで見えた。美衣奈のその出口には役目を終えた浣腸器に替わってアナルプラグが挿入され、今度は迫りくる排泄欲と戦わなくてはならなかった。
「お腹いたいぃ、お、お腹っ」
腹部を襲う圧迫感に、後ろ手に縛られて自由を失った指が虚空を掴もうともがく。足の指を縮めて力を入れる。
「耐えることが大切なんだぞ」
そう言ってAは美衣奈の膨れた腹部を思いっきり揉みしだいた。
「ああああああああッ! や、やめてぇっ、やめてくださいいぃッ」
腸に注がれた浣腸液が美衣奈の腸壁を削りながら荒れ狂う。溜まった老廃物が浣腸液に混ざり、渦を作って今にも外界へと飛び出そうと肛門に圧力を掛けている。
「そろそろだな」
「はううっ!」
美衣奈に押し込まれていたアナルプラグが取り外された。今にも飛び出そうになる排泄物を彼女は必死でこらえている。たとえブタの身に堕ち、主人に服従を誓っていても、人前で排泄をするということは容易ではない。排泄欲と羞恥心が美衣奈の顔を赤く染める。
「お、お願いし、ます……。ト、トイレへ、トイレに行かせてください」
涙を流しながらの懇願に対し、返ってきたのは非情な応答だった。
「バーカ、ブタがトイレに行くかよ。お前はここにするんだよ」
開いて拘束された股の間に、プラスチックでできた水色のタライが置かれた。
「そんな、こんなのでっ! い、いやぁ……見られたくないぃぃ。お願いしますっ、トイレに行かせてくださいッ! お願いしますっ」
全身から冷や汗が噴き出し、手足の指に力が入る。括約筋が最大の力を使って肛門を締め上げるが、外部から加えられた力には無力だった。
「うるさい。ブタが出し渋ってんじゃねーよ」
掲げられた尻をAは靴の裏で押すように蹴った。力はそれほど入れられてはいなかったのだが、そんな微量の力でも我慢の限界を超えていた美衣奈には十分だった。
「やだぁッ! やあああああああああああッ!」
美衣奈は拘束されて自由の効かない身体をのたうち回らせながら鋭い悲鳴を上げた。その悲鳴を打ち消すように大きな破裂音が部屋中に響きわたり、悲鳴の主から茶色く汚れた泥水が吐き出された。
「ひどい臭いだな」
そばで様子を傍観していたBの一言が美衣奈の心と尊厳を踏みつける。しかし、いくら涙を流したところで状況は何一つ変わらなかった。非情にも二度目の浣腸が美衣奈に振る舞われた
「いやあああああっ! 見ないでよっ、お願い、見ないでッ!」
再び腸から浣腸液を噴き出す美衣奈をAはケラケラ笑いながら見ていた。そして二度目が終わると、三度目、四度目と浣腸液を注ぎ続け、六度目を数える頃には噴き出す浣腸液は、腸内に送り込まれた時と同様の、透き通った透明のまま噴き出すようになっていた。
「準備完了だな」
「あうッ!」
強く美衣奈の尻たぶを叩いてAが言う。何の準備が整ったのか、美衣奈はすでに気づいていた。
「お願いします、もう、やめてください」
「往生際が悪いぞブタぁ。もう一回審問椅子行くか? なんなら石抱きでもいいぞ? ええ?」
「ううぅぅ、拷問やだあぁ」
「なら大人しく服従しとけ。ああ、口答えしたお仕置きにもう一回浣腸追加な」
「うおぐうううううっ!」
七度目の浣腸に、美衣奈は獣じみた悲鳴で応えた。光のない瞳が、無様に這いつくばった少女を見下ろし、その下にある唇は、相変わらずぐにゃりと歪んでいた。