第2話 少女に少女が疼く-2
「ふぅううぐぅうっっ!」
ちょうど、弥生が絶頂に至らしめられたタイミングだった。
「先生?」
ふいに弥生の声が耳に届いたので、瑞樹は反射的にそう言った。少し間があって、
「先生、トイレに行って来るね。」
と聞こえたので、そのまま弥生の事は忘れ、2人はまた、うっとりした眼差しで互いを見つめ合った。早苗は瑞樹の胸元を眺め、瑞樹は早苗の顔に見入った。
「先生から、伝言なんだけど。」
出し抜けに、2人にそう声を掛けたのは、書店の店長−つまり、涌井だ。
「店の奥に、応接室があるんだけど、そこで参考書を使って、自習していて欲しいそうだ。先生はしばらく、トイレに行っているから、自習しながら待っていて欲しいって。」
しばらくは、話が呑み込めないと言った様子で、ポカンと涌井を見上げていた2人だったが、
「そうなんだ。奥に、部屋が。貸してもらえるんですね。」
「先生、トイレ長くなりそうなんだ。じゃあ、部屋を借りて、そこで待ってようか。」
「すいません。お部屋、お借りします。有難うございます。行こう、瑞樹ちゃん。」
媚薬は、どこかに腰を下ろしてリラックスしたい衝動も、2人にもたらしていたので、涌井の言葉に2人は、疑いもせずに従った。それも、計算通りの事だ。
書店の奥の扉を開けて、薄暗い通路を少し歩いたところで、更にもう一枚の扉があり、それを開くと、応接セットの置かれた部屋が見えた。3人掛けくらいの赤茶けたソファー、ガラス製の天面の膝の高さのテーブル、一人掛けのソファーが4つ。よく見るタイプの応接セットだ。一人掛けの椅子の背後に、40型くらいの、大きなプラズマディスプレーのTVもある。それを乗せたTV台にはDVDプレーヤーが置いてある。
「こんな部屋があるんだ、本屋さんの奥に。」
「こんな部屋を貸してもらえるなんて、良いよね。」
2人は、3人掛けソファーに並んで座り、参考書やノートや筆記具を、ガラステーブルに並べた。形だけは勉強を始める態勢だが、そのまま、またボンヤリと、遠くに視線を彷徨わせ始めた。この部屋でも、加湿器がモクモクと蒸気を吹き出しており、それは媚薬が混入されたものだ。
誰にも見られていないという心理もあり、媚薬による疼きもあり、2人の股は緩む。ソファーに沈み込むように座り、足を開き気味にした事で露わになったスカートの中は、この部屋に仕掛けられた隠しカメラに、バッチリと捕えられていた。
十数代のカメラが、遠隔操作で、多少の上下左右のアングル変更も出来る状態で、隠されていたのだ。2人のパンティーにシミが出来ている事も、既に突き止められていた。
開かれた参考書やノートには一切目を向けず、2人はボンヤリと、斜め上の何もない空間を眺めているばかりだ。媚薬による脱力で、何もする気になれない、といったところだろう。
その時、突如TVの電源が入る。女子高生2人は何もしていない。リモコンがどこにあるかも知らないし、室内にリモコンは無いのだった。2人が何もしない所で、勝手にテレビはONになったのだ。もちろんONにしたのは、涌井だ。