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痴漢の巣窟書店 −女教師とその生徒―
【痴漢/痴女 官能小説】

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第2話 少女に少女が疼く-1

 早苗も、疼いていた。女子高の生徒で、性交経験はもちろん恋愛経験も、同世代の男子と会話した経験もあまりない早苗は、その疼きが具体的に、どんな行為を求めてのものなのかは、よく分からなかった。だが、そんな疼きをこれまで感じた事が、無いわけでは無い。
 友人との恋話や、TVドラマのラブシーンの際どいものを見た時にも、そんな疼きを覚えた事がある。その疼きが、エロティックな刺激を求めてのものではある事には気付いており、書店という公共の場でそんな疼きに襲われている事に、心の底で戸惑いを覚えていた。
 それも、これまでに経験が無い程に激烈で、濃密な疼きだったのだ。どうしたらいいか、分からない。どう対処すれば良いか、思いつかない。その疼きに、成す術がない。焦燥感も湧いてきていた。
 涌井は、そんな早苗の心中を、正確に見抜いていた。来店した時よりも目がうっとりし、軽く腰を引いたような前傾姿勢になっている。早苗の股の疼きと、エロティックな刺激を求める感情と、そんな自分への戸惑いと焦燥感、それらすべてを、涌井は早苗の外観のみから看破していた。
 女子高生2人には、弥生に対するより、遥かに大量で濃厚な媚薬が施されていた。店内にある加湿器への供給水に、媚薬が混入され、女子高生2人に向けて、モクモクと吹き付けられている。エロティックな経験や記憶に乏しく、性行為への恐怖心や嫌悪感が強いと予測される2人には、弥生よりも手の込んだ罠を仕掛ける必要があるとの判断からだ。
 入店時には、賑やかにおしゃべりに興じていた女子高生2人だったが、今はすっかり会話も無く、それぞれに違う方向に、ぼんやりと視線を彷徨わせている。
 戸惑いをたっぷり詰め込んだような視線で、早苗は瑞樹の方を見た。その目が、同性を見詰めるものとしては有り得ない程に、恍惚《こうこつ》とした香りを放った。視線が、瑞樹の胸元のラインをなぞる。
 同級生の中でも大きい方だと思われるそのラインが、これまでは、それほど意識した事が無かったのに、この時早苗は、猛烈に気になった。ドキドキした。ムラムラした。同性の、同級生の、友人の胸のラインが、これまでに感じた事が無い程に甘味なものに思われた。
 女子としては中背《ちゅうぜい》の早苗は、小柄な瑞樹の大きな胸を、上から見下ろすような格好になるから、大して広く開けられていないセーラー服の胸元にも、谷間を見止めることが出来た。その肉と肉が重なって影が差している部分に、どうしようもなく意識が吸引され、目的の分からない衝動が付き上げて来る。
 股は、なお一層、疼いた。鼓動は高鳴る一方。早苗は、もう何が何だか分からない。そんな彼女の視線の動きも心の動揺も、涌井は全て、正確に見極めていた。
(媚薬の影響で、同性に、同級生に、友人に、発情し始めたな。)
 早苗の視線に気付いたのか、瑞樹が早苗を見上げた。上目遣いで、少し潤んだ瞳で、頬も少し紅《あか》らめて。早苗の瞳の、恍惚《こうこつ》とした香りを感じ反応したものか、瑞樹の目も恍惚として来る。瑞樹は早苗の顔を、まじまじと見つめている。
 端正で穏やかなその顔立ちは、清楚で清純な印象だ。スレンダーな体格と、大きすぎない胸が、その印象をさらに高めている。変に巨乳だと、台無しだっただろう。その清楚な顔に恍惚の香りが漂っている様は、瑞樹の心を吸い込み、ムラムラとした衝動を掻き立てずにはいないものだった。
(女子高生が2人とも、お互いの姿に欲情をそそられている。)
 涌井は、彼の仕掛けた媚薬の罠が、計算通りの効果を発揮している事を、確信したのだった。


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