そして奏でられなくても-3
「先輩どうしたんですか?」「猛?あの、あのね、」
私はなにがなんだかわからなくなって
猛を抱き締めた。
「ちょっ…まっ…先輩っ」
「………なら………に」
「え?」
「猛が雅人先輩ならいいのに…」
欲望と願望が入り交じる
「ありさ…先輩」
「‥あ、ごめん…」
私は猛を放した。
「なんで…私…」
猛は困った顔をして
「先輩……?俺は雅人くんじゃないんですよ。」
とぼやいた。
「ごめ……」
しばらく無言であるいていると猛がいきなりしゃべりだした。
「あの!」
「え……なっなに?」
「怯えないでください……。」
「ちっちが‥…」
見透かしてる?
「あの、雅人くんに告白するんですよね?」
猛は兄のことを雅人くんと呼ぶ。兄弟なのに――――ね?
「うん……まぁね」
「だったらメールでまずモーションかけてから告白するんです。いいですか?」
「……わかった。」
私はメールを送った。
―――雅人先輩へ
お話したいことがあります――どうかメールをください……。
「先輩!本番ですよっ!」
「はぁい♪」
呼びにきた猛のところへ私は走った。
ドコドンドコドコドン…
本番が終わりお祭りの屋台にテロテロと歩いた。
そしてメールの返信が私に返ってきたのは
夜、7時だった。