〈二人だけの宝物〉-9
「やっぱりオカシいですッ!私ッ…私、何も盗んでないのにぃ!」
がさついた指が逃走を図りたくて堪らない太股を撫でると、花恋は声を裏返して尻を振り、二人の行動に反抗を示した。
きちんと謝罪したら許す。の言葉とは、全く関係のない行動なのだから、花恋の言動は当然である。
『君の万引き行為は、しっかりカメラに映ってましたが?それに許すか許さないかは私達が決める……さっき言いましたよね?もしかして君は記憶力も無いのかね?』
「こんなコトして許すとかってッ!?ぜッ…絶対こんなのオカシい……やあぁぁあッ!!」
『オカシいのは君の方ですよ。万引き犯のクセに他人を批判ですか?偉そうに……ふざけるにも程があるんだからね!』
熊のような大きな掌が尻肉をむんずと握り、もう一つの“それなり”な掌は、ジリジリと狭められていく太股を押さえては広げていく。
花恋の下半身は不条理な詰りと脅迫に包まれながら、ガッチリと抱え込まれてしまった……。
『ムフフフ…プリップリなお尻をしておるねえ?それにこの青いパンティ……私の大好物ですよぉ……ん〜、堪らん』
「あ…青…い……?」
『このフリフリの多さも“好い”ですよね?クヒヒッ…テニスのアンスコみたいだ……』
裕太が買い与えた下着が、この店長の好みの色柄だと知った花恋は、この二人の背後に裕太と裕樹の姿を見た……。
最初から自分を《売る》つもりで、この店に一人で入らせた。
その見返りが金か物かは知らないが、あのミニバンの中であれやこれやと想像し、笑っているのだけは直ぐに頭に浮かんできた……。
『スゥ〜…ハァ〜!スゥ〜…ハァ〜……ムッフッフ!イヤラしい牝の臭いをさせおって……樋口君も嗅いでみるか?』
『頂きます店長。クンクン……ヒヒヒッ!?マンカスが穴の中で発酵してるのかな?ちょっと酸っぱい臭いが混じってますねえ』
英明とのデートを控えている午前に、まさか見ず知らずの男達の慰み者にさせられるとは思わなかった。
もしかしたらデートには行かせて貰えず、このままこの二階の事務所で夜まで姦されるのでは…?
そんな事態が頭を過り、とたんに花恋は泣き叫んでしまった……。
「こん…こんなの嫌よぉッ!!わ、私ッ…ホントはこんなんじゃないのにぃッ!!」
意識は一週間前の《今日》に戻っていた。
何故、盗まれた下着を探そうとしてしまったのか?
何故、裕太の部屋に入り、ノートパソコンの中を覗いてしまったのか?
あんな事をしなければ、その後のレイプも無かったし、身体を奪われる脅迫も無かったはずだ。