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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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-1

2人は沈黙したまま
しばらく見つめ合う。

問い詰めたちづるのが、
問い詰められたように
動揺しているのがタクミの目から
見てよく分かる。

タクミが、
お腹をさすりながら口を開く。

「嘘? 、、、
  っ はーー、、、。」


「 ぁ、、 〜っ  」

 
「、、、。
   ところで さぁ。」


「 んっ!? 」

    お腹 さすってる、、、
  
  嘘じゃ なかったかも 


「なんか、、臭くない?」

「 え? 」

「変な匂いする〜。」

タクミは少し上をむいて
くんくんと鼻から息を吸っている。

ちづるはハッとして立ち上がり、
壁にかかっている自分のコートに
近づいて言う。

「 ぁ! ごめんっ!
 この匂い、、 だと思う、、」

「 ?」

コートのポケットから、
小さな小瓶を取り出し
タクミに渡そうとする。

「正露丸。 、、デス。」

「 え? せーろがん ? 」

「、、下痢とかに、効く薬。」

「 、、、、。」

「 ? 」


タクミは薬を受け取りながら
ちづるを見上げて言う。

「お腹痛いって、
嘘だと思ってんのに
薬持ってきてくれたの?」

「、! 、、 ん、 。
 でも、、だって 
  本当かも しれないし 」

「、、ふーーーん、、、。」

ちづるは
ベッドに戻り再び座る。

タクミは、
面白いものを見るような目で
ちづるをじっと見ている。

ちづるの目が泳いでいる。
悶々と、考えていた。

「、 、 、、〜っ  、」


   で 、、 、


       で ? 



     嘘なのか

 嘘じゃないのか

   どっちなんだろう 


  私 ちゃんと 
    問い詰めたよね!? 


 なのに なんか タクミ君

  落ち着いてる、、、

   なんで
  何も 言わないんだろ 


 お腹 さすってるし

   やっぱり本当に
       痛いんだ 



「 っ はーーー、、、」


再び、タクミはため息をついて
お腹をさする。
そして呟く。

「 ちょっと、、
 そっちで 休もうかな、、。」

「 ぇ? 、、ぁ 、」

タクミは立ち上がると、
ちづるの隣に座る。

ちづるよりも背の高いタクミは
上半身を猫背に丸めて
ちづるの肩に頭を乗せて
よりかかる。

無言で自分のお腹を
さすっている。

「、、 はぁ  」 

タクミが
お腹をさすりながらちづるを見る。

至近距離で見つめ合う。

タクミの目の奥が寂しそうだ。



「、、 〜っ   、 、」

「 ? ちづちゃん ? 」


しばらく見つめ合ってると、
ちづるの目にじわりと涙が浮かんだ。


「、 、 、、 、 」


   タクミ君の事

     1番 好きなのに

   なんで私  

    鈍感なの? 

 いつになったら

   タクミ君の事 


 理解出来るようになるの?


「 どした? 、、泣いてる?」


「、っ 、泣いてないよ。
   、、、タクミ君 。」


ちづるは、涙を飲み込む。
情けない顔にならないよう
気持ちを引き締める。

タクミのお腹に手を伸ばして言う。


「お腹、、痛い時は、、
 時計回りのが、いいんだよ。」

「 ぇ? 」

「おへその上が
 12時だとするでしょ?
  だから、、 こっち  」


ちづるが説明しながら、
タクミのお腹をさする。


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