卒業-2
インターホンが鳴ると、
ちづるはタクミを迎え入れる。
ちづるは
上は知可子にもらった
白いニットを着て、
下は紺色のスカンツを履いていた。
髪はハーフアップにして
ピンクの髪飾りをつけている。
廊下でちづるの
後ろ姿を見たタクミは
その髪飾りを見て
去年の夏の事を一瞬、思い出す。
2人は部屋に入ると
タクミはソファーに座り、
ちづるは台所に立ち紅茶を入れる。
ちづるが言う。
「卒業式、どうだった?」
「んー? 別に。
普通だったよ。」
「えぇ〜?
もっと何か、こう、、。
最後って思うと
寂しくなったり、しなかった?
あ、 泣いた? 」
「 ふっ 泣いてないよー。
まぁ、
男なんてそんなもんじゃない?
女子は泣いてる人
いたみたいだけど。 」
「えー?そうかなぁ。
友達も?
あっ! 健君は? 」
「全然、普通。
今度飯行こう、って話しただけ。」
ちづるは紅茶を入れながら
タクミに背を向けて話続ける。
「お母さんは?
来たんでしょ?」
「 あぁーー、、、。」
タクミが苦笑いをしているのを、
ちづるは背中で感じ取る。
タクミが言う。
「親は、泣いてた。
なんかー、、 引いたわ。」
「えぇ〜?
ふふ 引かないでよ。
感動したんだよ、きっと。」
「でも周りの親とか、
泣いてる人たぶん居なかったし。
っつーか、普段家にいなくて
あんま会わないのに。
よく泣けるよなぁ、 と。 」
「、! ぁはっ 」
ちづるが笑いながら
ソファーの前の
テーブルに紅茶を運ぶ。
タクミの隣に1度座るが
「あっ、、そうだ 」と言い
すぐに立ち上がる。
1度寝室に行き、すぐに
戻ってきた。
ちづるは手に
ブルーの小袋を持っている。
小さな袋はゴールドのリボンが
ラッピングされていて、
すぐにプレゼントだと分かる。
ちづるは再びタクミの隣に座ると
その袋を差し出して言う。
「これ、、。
たいしたものじゃないけど、、
ぁの 卒業、、おめでとう。」
「 、、ん
ありがとーー、、。」
ちづるは
はにかんで笑顔になりそう言った。
タクミは
少し照れたようように目を伏せて
そうお礼を言った。
「あけていい?」と
タクミが聞くとちづるは
「うん。」と頷き、
タクミは袋からプレゼントを
取り出した。
「、! ぉーー!
キーケースだ〜」
プレゼントは、
ダークグリーンの皮の
キーケースだ。
タクミは、
キーケースのボタンを外し
中の金具を見ながら言う。
「ありがとー。
なんかカッコい〜。
そういや俺、キーケースって
使った事ないかもー。 」
「ふふ、、うん。
知ってる。 」
「なんか
大人になった気分〜。」
「 ふふっ 」
「免許も取りたいし、
そしたら車の鍵とかにも良いかも。」
「 うん。」
「、、、ぁ、。
ちづちゃんチの鍵も欲し〜」
「 んっ? 、 え ? 」
「ここの鍵〜。
なくした、とか言えば
作ってもらえそうじゃね?
市営って。 」
「 ! 、 、 、、」
「 困ってる〜
ふふっ
あ、 」
そうだ
俺も プレゼント
タクミは、
ソファーの横に置いた学生鞄を
ゴソゴソとあさる。