ド-3
そういえば・・・
寝室の間接照明のライトが切れそうだったな。
替えておこう。
昼間買って来た新しい電球を持って寝室に行くと
意外に電球は高いところで
椅子に乗って、やっと、届くか・・・な。
椅子に乗って手を伸ばし、それでも届かない高さの電球に
危ないかな、と思いつつ椅子の上で背伸びをする。
もう、少しっ。
その時、寝室のドアの所から
「ただいま。まだ起きてたのか」
と、小さく主任の声がした。
その声にビックリして、バランスを崩した。
「あ・・・」
そんなに高くない椅子とは言え、手に持っている電球を
割りたくなくて態勢が悪くなる。
そんな私を、主任が両手で受け止める。
「あっぶないな・・・」
後ろから私の腹部に回された手は
偶然に、手のひらが胸を包んでいた。
ものすごく微妙な動きで
主任の手のひらが私の胸を優しく包む。
その感覚に胸の先が固くなった。
「高いところのは、俺に任せろよ」
思った以上にすぐ後ろにいる主任がそう言うと
言葉とともに吐き出された息が首筋にかかった。
「う、ん」
やっとのことで返事をしたのに
まだ回された手を離してくれなくて
このまま抱きしめてほしいとさえ思う。