カ-3
そのパジャマは池田自身の。
凄く気に入って買ってたけど。気に入らないなら買いに行こう。
そういいながら主任はベッドから出て
着替え始めた。
着替えをボーっと見ていた私は
5年前の私の記憶とは違ったメガネフレームに気がついた。
「そのフレーム、素敵ですね」
主任はその言葉に笑って
「これは、し・・池田が選んでくれたんだ」
嬉しそうに言うその顔は5年前の記憶にはないもので。
「5年後の私、センスいいかも」
「だな。リビングにいるから。着替えたら、おいで」
さりげなく部屋を出て行ったのは
私が着替えやすくするためなのかな。
5年間の記憶がない私は、主任の前で着替えることに抵抗がある。
クローゼットを開けると確かに見慣れないよう服ばかりで。
でも確かに好みは私のものだった。
楽そうな服を選んでリビングに行けば
コーヒーを入れてくれて主任が待っていた。
「それ着たんだ?」
「変ですか?」
「いや。似合ってるよ」
ピンク色のセーターと黒いロングスカートは着なれているらしく
着心地が良い。