新しい父親-5
「……ふーん、はぁやっぱりね。」
「風馬君…。」
案の定私たちがやった事はすぐに彼に感づかれ。
「ちょっと!彼には黙っててって言っただろ!」
「しっ仕方ないでしょ!僕だって必死に止めたけど。」
下校道でひそひそと言い争う二人。
「でもありがとう皆、僕の為に色々と。」
「……。」
「母さんの言う通りだ、今からあれこれ根も葉もない事考えても仕方がない、なるようにするしかないよね。」
「悪いね小鳥遊君あれ野村だっけ今は。」
八重樫さんと結婚したらまた変わるんだ、小鳥遊は風馬君の元父親の姓。
「良いよどっちでも、兎に角僕が立ち向かえばいいだけの事、結局の所それが一番さ。」
「……。」
もはや何も言い返せない、彼の表情はあの時のままだ。
「ささっ!この話はおしまいさーてこれからどうする?」
「それは…。」
「何なら今からデートでも、ん?」
気性に振る舞う彼にケータイが鳴り、ポッケから取り出し、電話に出る。
「あっ、宮本さんいつも母がお世話になってます。」
宮本さんっていうのはおばさんの知り合いで、八重樫さんを紹介したのも彼女で、息子である風馬君ともほどほどに親しいらしく。
「えっ!母さんが!?」
「っ!!?」
突然声を荒げる風馬君。
「…どうしたの?」
「母さんがパート先で事故にあったって…。」
「えっ!?」