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MOTHER 『僕』
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MOTHER『再生』-1

チリチリチリ

『ほら さっさと行きなさい!待たせたら悪いでしょ!』

『はーい いってきます!』

バタバタと階段を駆け降りて玄関のドアを開ける

『おはよう』

『お待たせっ』


私はあれからすっかり元の生活に戻っている。

今は果たせなかった『約束』を今度はきちんと果たす為に 前向きに生きてその時を待つことに決めたから。

私はあの日 一度死んだ。
死んだと言っても弱かった16才の私がだ。

あの日私は確かに宙を舞った。
私の腕を凄い力で後ろに引っ張る引力で。

茫然とする私の目の前にあったのは… 今ここにいる現彼氏の顔だった。

『おまえ 馬鹿だろう!!』

凄い剣幕で怒られて 私は子供のように大声で泣いた

彼は場所を変え ただじっと私の話を聞いてくれている。

誰にも言えないと思っていたのに 私は見ず知らずの彼に泣きながら全てを話していた。

彼は私の話を最後まで黙って聞いた後で とても悲しい顔をした。

『つらかったね』

思いもよらなかった言葉に私はまた声をあげて泣いた。呼吸もままならないほどわんわんと泣いた。 

彼に。先生に気付いてほしかった。
お母さんには解ってほしかった―。


彼からの連絡で飛んできた両親の顔は蒼白だった。

母は私を抱き寄せて『ごめんね』と泣き
父は彼に何度も頭を下げていた。


その夜 私は夢を見た。
見たことない小さな男の子が悲しい顔で私を見ている。
近寄ろうとすると彼はにこっと笑い

『僕 ずっと ずっと待ってるからね』

そう言って走り去って行った。

覚醒されるその時まで その言葉は私の中に響いていた。


『ねぇ また会おうね!』



『なぁ』

『ふぁ?』
彼の自転車の後ろに乗ってぼうっと物思いに耽る私は思わず変な声を出してしまう。

『なんだよ せっかく人がいい話ししよってのに』

『ごめん ごめん 何?』
慌てて彼の背中に問い掛ける。


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