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SM学園・行事幕間
【学園物 官能小説】

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第20話 研修、飯盒炊飯-2

 自分の肉体を優先しないのだから、器具となって無理な姿勢に耐える少女達の忍耐に気を配ることもない。 当然気が付いてはいるけれど、気にしないようにする習慣が出来ている。 

 食事は、専門生と指導員にピッタリ行き渡る分量だった。 肉一欠片、米一粒すら余らない。 飯盒と鉄板が綺麗に空っぽになったところで、少女たちは姿勢を崩すことが許される。 3人とも汗びっしょりで、けれど肌に傷はついていなかった。 所々耐熱クリームが汗で薄れてしまった場所も、ほんのり赤くなっているだけ。 一度特殊なクリームを塗れば、間近で炎に炙られても火傷すらしない――現代科学の凄味といえよう。

 ふらつきながらも背筋を伸ばし、第1姿勢――手を後頭部に組んで胸をはり、乳首を最も高い場所にもってくる体勢――をとる少女たち。 専門生たちが食事をするしばしの間、備品の務めから解放される。 目隠しやハミで表情は伺えないものの、荒い息遣いと上下する肩から、消耗が大きいことが伺い知れた。

 食事のあとは片付けになる。

 野菜の皮、ヘタ、肉の筋、骨、その他諸々。 飯盒にこびりついたコゲと鉄板に染みついた油。 人数分用意されたお皿やガラスコップ、箸、フォーク等々。 すべて綺麗に片付けるまで野外調理は終れない。 専門生が用意した洗剤は、学園が使用している『膣分泌液と混ぜることで規格外の洗浄力を発揮する』洗剤とは違っていた。 ただの高い効果をもつ界面活性剤で、つまり、洗浄に自慰による体液分泌が必要ない。 スポンジやたわしは用意されておらず、彼女たちは自分の身体――膨らんだ胸や脇、股間の谷間やそよぐ陰毛――に洗剤をまぶしては、丹念に自分達が使った食器を洗う。 

 鉄板や飯盒のしつこい汚れには、例の『膣分泌液』が必要な洗剤が対応する。 普段であれば専門生が自らマンズって白濁液を提供するが、せっかく『備品』があるのだから、使用しない法はない。 指導員は洗剤が入った広口容器を【2番】の真下に置くと、激しくマンズリを掻くよう命令した。 即座に両手を股間に這わせ、第3姿勢のまま【2番】が胎内をほじくると、ものの数秒で濁った粘液が滴り落ちる。 こうして洗剤を適度に泡立たせながら、丹念に調理器具が磨かれていった。

 【22番】と【29番】に振られた役目は生ゴミ処理だった。 2人とも地面に膝をつき、顎をあげて口を開く。 ハミが外され、喉の奥まで丸見えだ。 【29番】にはご飯のコゲや肉片など、細かすぎて食べられない残飯が放り込まれた。 量こそ少ないものの、絶え間なく詰め込まれる生ゴミを食べ続けるのは気力がいる。 ちゃんと噛めているうちはまだマシで、量が溜まってくれば、咀嚼なしに飲み下すより他ない。 味のバランスなどお構いなしに調理残滓を頬張る姿は、文字通りの『ゴミ箱』だった。 もっとも【22番】と比べれば、【29番】の状況など問題にならない。 【22番】には箝口具が取りつけられ、さらに箝口具と『ミキサー』がゴムホースで繋がれていた。 山のような野菜くずや食べられない骨が、手当たり次第に『ミキサー』へと投げ込まれる。 強力な『ミキサー』は、あっという間に生ゴミをドロドロの茶色い液体に変える。 そうして溢れた液体が行き着く場所が【22番】の口になる。 全てのゴミが混然一体となった液体の味――【22番】は無表情のまま喉をゴクゴクいわせている――がどのようなものかというと、言葉で表現するには手に余る。 確実に言えるのは普段食べているオートミールが至高に思えるレベルの味、ということだ。 ミキサーの蓋を締めていても、茶色い液体から漏れる腐乱臭は隠せない。 それでも眉ひとつ動かさず呑み込み続ける【22番】の精神力は、素直に感嘆に値するだろう。 

 もっとも、飲み干し続けなくてはいけない理由はある。 【22番】に付けられた『ゴムホース』は透明カップが付属しており、口と鼻を同時に覆うタイプなためだ。 もし飲み乾さず口を閉ざせば、次々に送られてくる汚水は行き場をなくし、ホース内部に溜まってゆく。 するとホースに覆われた鼻の穴まで液体に沈み、【22番】は窒息するしかなくなってしまう。 汚臭であっても貴重な酸素だ。 息を止めるわけにはいかない。 汚水であっても命の汁だ。 酷い味というだけで、栄養面では寧ろ普段の食事より人間的なバランスがある。 ゴムホース一本で呼吸を完璧にコントロールされた【22番】は、頭の中で現実を懸命に正当化しながら、生きるために感情を殺し、ひたすら与えられた汚辱を呑み込み続ける。

 片付が終わったとき、時計の針は19:30を指していた。 次の行事は20:00から始まる『ウミホタルの観察』である。 直接調理師とは関係ないが、せっかく海に来ているのだから肩の力が抜ける行事も取り入れようという、指導員たちの方針だ。 手を合わせて『御馳走様でした』と唱和してから、ほんの少しでも休息をとるため、みんなは自室へと帰って行った。

 


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