Past's CHOCOLATE-1
橋田哲希、15歳、女房持ち。この間、女房、別名マイハニーのコノが誕生日を信じられない祝い方で祝ってくれたおかげで俺たちはグッと近くなれた。それから俺たちは、二人とも部活が無い日はどこかで落ち合い他愛もない会話するようになった。今日はお互い部活が無い日。俺たちは今、学校の近くの公園で話している。
「見て見て哲希ィ!!」
振り返ると、無邪気にコノがブランコを立ちこぎしている。そういえば、ここに来る前コノは、公園で遊ぶんだと言って、スカートの下にジャージを履いていた。
「…ぉお!?落ちんなよっ!?」
無邪気過ぎだろ、コノ子さん!!地面とほぼ平行じゃん。ブランコに対して90℃じゃん。髪の毛を振り乱し、「たっのすぃ〜!」と言いながら大爆笑している。見ているこっちが気持ち悪くなるような早さだ…。
俺は、コノがブォンブォンいわせている隣のブランコに座る。しばらくすると、コノは漕ぐのを止め、ブランコに座り、足を地面に付けてブランコを止めた。
「そういえばさっ、哲希って今まで誰かと付き合ったことある?」
コノが今思い出した、というように急に聞いてきた。
「えっ…」
「やっぱ気になるもんなんだって。そういう話聞いたことないから、無いとは思うんだけど…」
「あるよ、誰にも言ってねぇけど…」
「ぇえっっ!!」
驚き過ぎじゃっ!!健全な男子中学生が誰かと付き合ってたっておかしかないだろ!!
でもまぁ…驚いて当然だな。ホント誰にも言ってないし。伸にも圭介にも…。
「…どういう人だったの?」
「…言わなきゃダメ?」
「ダメ」
「…どうしても?」
「言えっ!」
「う…うん…」
彼女に出会ったのは中学一年の夏。サッカーの試合で他校に行った時だった。相手側の陣地で応援するショートヘアの女の子。一目惚れだった。きりっとした顔立ちで、中学生にしては大人な雰囲気の彼女。試合中にも関わらず、俺は彼女が気になってしかたがなかった…。
試合が終わると、俺はすぐに彼女の元へ走った。
『俺、橋田哲希っていいますっ。良かったらアドレス教えて下さいっ』
彼女は最初驚いていたようだが、ニコッと笑っていいよ、と言ってくれた。
家に帰ると、俺はすぐメールを送った。
彼女とはたくさんメールした。そして、たくさん彼女のことを教えてもらった。彼女は、俺の一つ上で、サッカーが大好きだから試合があるたび見に行っているそうだ。彼氏は無し。一つ上の姉がいて、すごく仲がいいらしい。俺は彼女にどんどんひかれていった。冬になった頃、俺は彼女を映画に誘った。返事はOK。数日後、ドキドキしながら俺は待ち合わせ場所に行くと、既に彼女はそこに来ていた。
『ごめん、待った?』
『ううん、それより寒くない?』
『うん、かなり…』
俺がそう言うと、彼女は俺にピタッとくっつき、俺の手を握った。
『あったかいね』
一瞬、頭の仲が真っ白になってしまった。俺は、冷たくなった彼女の手を、彼女に負けないくらいギュッと強く握り返した。
冬の間、俺は彼女といろんな場所に行った。彼女は寒いを理由に手を繋ぎ、一緒に笑い合った。