第18話 研修、カッター訓練の備品-4
「全員、櫂上げ!」
「「はい!」」
適宜指示を出し、訓練を継続する。 彼女は指導員として、また艇長として、漕ぎ手たちが自分たちだけでスムーズに動けるようになるまで、この後も『転覆』『復元』を練習するつもりだった。
さて、救命艇である。 救助されたとはいえ、海水をしこたま飲んで気を失った生徒である。
彼女に救急措置を下すのは、『救急装置』をセットされた【22番】の役割だ。 胸を押さえてから気道に直接空気を押し込む人工呼吸を、オマンコ込みで処置する仕様。 五感拘束の上で貞操帯を外し、張り型に代えてゴム素材の酸素ボンベを挿入する。 酸素ボンベには漏斗状の吸い口がつけてあった。 【22番】は被処置生徒の顔に跨り、手で心臓マッサージをする。 マッサージに合わせてオマンコを締め、酸素ボンベから新鮮な酸素を供給する。 お尻の割れ目で被処置生徒の鼻を閉じなければならず、必然的に思いきりオマンコを顔におしつけることになるのは、酸素ボンベと口を密着させる点で理に適っていた。
ということで、跨って膣を締め、またセッセと心臓を揉むこと数分。 【22番】の尻に敷かれた生徒は盛大に海水を吐き出し、けほけほ噎せつつ意識を取り戻した。 【22番】は無事に『救急装置』として役割を果たせたことになる。 ただし溺れる生徒がこれで終わりかどうかは分からない。 次の被処置生徒に備えるべく、腕を股間を通して背中に回す。 【22番】は膣に咥えた酸素ボンベに余分な圧力を加えないよう、ソッと両手で支えるのだった。
残された【29番】にしても、しっかり海上での役割は用意されていた。 長時間のカッター訓練では、適宜水分補給が必須になる。 【29番】は救命艇の手摺にV字開脚した形で縛られた。 五感の封印は解かれたし、両手も自由に動く。 手には特大のガラスシリンダーを持たされていた。 薬液――浣腸液と栄養剤をブレンドした黄色い液体――は大きなバケツに並々と注がれ、【29番】のすぐ後ろに置いてある。 指導員曰く『救命艇を近づけすぎると危ないので、彼女たちへの給水は貴方の括約筋で行います。 水分をセルフ浣腸して、カッターの漕ぎ手に届く様に勢いをつけて排泄なさい』とのこと。 つまり、少女は人間ポンプに貶められていた。
指示されるまま、自分の手でシリンダーを薬液につけ、ギュムッ、肛門に吸い口を挿入するなり中身を腸内に放出する。 一度腸内に入れた程度では、全力で気張って排泄したとしても、到底カッターには届かない。 カッターの漕ぎ手たちは、【29番】の様子から『給水』のタイミングを察知したんだろう、おずおずと口を拡げながら少女を見守る。 アナルに集まる視線を感じつつ、4度薬液を浣腸してから、少女は盛大に排泄した。 排泄時にお尻をしっかり上向きにしていて、放物線を描きながら、勢いのある飛沫がカッターへ届く。 事前浣腸をしていないため、少女から迸る飛沫は茶色かった。 ただ、それくらいで飲便を躊躇うようでは、専門学校生はやっていけない。 どの漕ぎ手も餌をねだる雛のように、こぞって少女の排泄物に唇を寄せる。 そうせざるを得ないほどに、酷暑がもたらす喉の渇きは深刻だ。 となると、【29番】としては1度の排泄で終える訳にはいかない。 『人間ポンプ』としては、是が非でも全員に水分を補給させるべきで、そうするためには何度も浣腸を繰り返す必要がある。
2度目の浣腸は、薬液を5回抽入した上で、んんんっ、さっきより一段と息んで飛ばした。 カッターの遠い方の舷で櫂を握る漕ぎ手にも水分が行き渡るように、という少女なりの思い遣りだ。 勢いよく排泄しながら、腰を左右にグラインドさせる。 薬液が艫から舳先に達するようにと気張りながら腰を捻る姿は、まさに自動で方向を調節するポンプのソレだ。 かくて指導員から水分補給の指示が出る都度、少女は浣腸と排泄を繰り返した。 港に戻るまでに薬液を抽入した回数は、優に50回を超えていただろう。 最後には真っ赤に腫れた肛門を炎天下に晒しながら、それでも自分の肛門を労わることなく水分補給に従事する姿は、健気というにはあまりにも痛々しいものだった。
最終的に、港を出てから4時間を経て、カッターは元の岸壁に無事辿り着くことができた。 到着して無事にもやいづなで繋いだときには、漕ぎ手は一様に息も絶え絶えになっていた。 【22番】は左程の消耗でもなかった一方、【29番】は前述の通り苛まれつづけた格好を晒す。 どうにか全員が艇庫前に集合したところで、次に集まる『夕べのつどい』という施設集会の説明があり、ようやく解散の号令が下った。
三々五々と部屋に戻る専門学校生の背中。 救命用具を挿入された【22番】、赤く捲れた肛門を拡げたままな【29番】、そして出発時と寸分違わぬ直立姿勢で白濁にまみれた【2番】の3人は、勤めて感情を表に出さずに見送るのだった。