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SM学園・行事幕間
【学園物 官能小説】

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第18話 研修、カッター訓練の備品-2

 そうこうするうちに定刻通り、専門学校構成員全部――指導員2名、生徒20名――が艇庫前に到着した。  全体指揮をする指導員の背後に、さっきまで地味なスーツを着ていたもう1人の華奢な指導員が、黒いウォータースーツに身を包んで立っている。 指導員たちの横には、ようやく踵まで乳白色の日焼け止めが垂れてきた【2番】が、顔射後のような佇まいで直立し、さらにその隣に【22番】、【29番】が、完全拘束された状態で背筋をピンと伸ばしている。 指導員たちの前では、手を後ろに回した『やすめ』の体勢をとる全裸の専門学校生がいた。 

 ところで、学園生徒の『やすめ』はがに股をつくってオマンコが拡がるまで腰をつきだす『第3姿勢』が基本だが、専門学校生の『やすめ』は普通の『やすめ』を全裸で行うに過ぎない。 将来社会人になって牝性を吟味される立場の学園生に対し、優秀な調理人になる専門学校生は、必要以上に牝性を晒す必要がないため、基本動作も自ずから異なる。

 さて、指導員から『座席』――カッターには乗る場所が決まっている――や船での『用語(櫂、櫂留め、舵、面舵、取り舵等)』、練習する『動作(櫂立て、急旋回、転覆、復元)』について、簡単に説明があってから、いよいよカッター訓練が開始した。 ライフジャケットのような救命設備は存在しない。 カッター訓練に付随して『救命艇』が1艇、カッターに随伴するのが救命の全て。 白濁塗れな【2番】をその場に放置し、全体指揮をする指導員と【22番】、【29番】の2名は『救命艇』に乗る。 ウォータースーツを着た指導員が艇長として、1回生25名は漕ぎ手として、崖に繋留されたカッターに乗り込んだ。

 狭い港湾内は『救命艇』の曳航により、スムーズにすり抜ける木製のカッター。 やがて小さな灯台を左手に海原へ乗りだしたところで『救命艇』が離れてゆく。 艇長が舵をとり、漕ぎ手が櫂を回転させ、カッターは順調に前に進んだ。 風が凪いでいるせいもあり、救命艇に追いつくほどのスピードがでる。 たちまち出発した港が遠ざかり、いまや水平線に隠れるほどになった。

 『一斉櫂立て』『櫂下ろし』といった基本動作の練習を済ませたところで、唐突に艇長が立ち上がった。 艇長が発した号令は『転覆』。 その場でカッターをひっくり返す、ということだ。 波でひっくり返った船を元に戻す練習をするには、一度ひっくり返さなくては始まらない。 そういうわけで表情を引き攣らせる1回生には頓着せず、皆を立たせて船べりに腰かけさせた。 あとは息を合わせて、3、2、1、ドボン。 激しい波しぶきも悲鳴もなく、ゆっくり軋みながらひっくり返るカッターには、当然ながら悲壮感も存在しない。

 問題はここからだった。 立ち泳ぎする艇長が見守る中、力を合わせてカッターを『復元』しようともがく1回生たち。 けれど簡単に人力で元に戻せるほど、カッターは扱い易い乗り物ではない。 そもそも隙間には水が入るし、艇の底は水に浸かってツルツル滑る。 片側を持ち上げつつ反対側を海に沈めて浮力を得ればひっくり返せるが、そのどちらも必要な力は半端じゃない。 1回生の中には泳ぎが苦手な生徒もいて、そんな子は沈まないだけで精一杯だ。 想定された危機とはいえ、溺れるかもしれない恐怖は冷静さと共存できず、1回生同士の連携も噛みあわない。 
 結局生徒単独での復元はムリで、転覆後15分したところで不承不承指揮をはじめた艇長に合わせることで、ようやく仰向けになったカッターを元通りにできた。

 ただし、元通りになったからといってすぐに漕ぎ始められるわけではない。 全員が海中からカッターに乗り込み、中に溜まった水を掻きだして、ようやく再出発が可能になる。 真っ先に艇長がカッターに登り、艇長が指示する順番に1回生が這い上がった。 1時間以上カッターを漕ぎ、直後に水中に落された挙句、艇を戻すために四苦八苦した直後だ。 誰もがヘトヘトに困憊しているのを隠そうともせず、へばりつくようにカッターの縁(へり)をよじ登る。



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