無謀な決断-6
「うおっ!妊娠っ!?…ぐぉごほっごほっ!」
「お父さん!」
さっきとはまた対照的なリアクションだ。
「おっ、お前ら…何処まで年寄りの寿命を縮めたら気が済むんだ!」
「御免なさい…。」
「すみません…。」
正座で小さくなる私達。
「でもお爺ちゃんの為でもあるんだよ?」
「はっ?」
「そうだねーお父さん孫に子供が生まれるんだよ、つまりひい爺ちゃんになるわけだ。」
赤ちゃんを産みたい動機はここにもあったのだ。
「…お爺ちゃん言ってたでしょ?寂しい寂しいって数年前にお婆ちゃんが逝って一人寂しい思いをしてる時に私と言う孫が来てさ…。」
「……じゃがもう充分だ、お前に、それに出戻りの娘に…、なんでそんな無理して産もうとする、お前のような華奢な体で、もしもの事があったら。」
お爺ちゃんは反対なのか、巴ちゃんと同じ事を言う。
「お父さんには申し訳ないけど私は賛成よ生むの。」
「若菜っ!」
「だって私に孫が出来るのよ、アンタ達と離れてた頃はもう娘とも誰とも会えないでそのまま人生終わるのかと思ったら。」
「むぅ…ひ孫かぁー。」
けど割とあっさり納得し出して。
「さっき僕の母にも同じ話をしました、そしたら賛成してくれて。」
「なら子育ては彼女と私で頑張る!もし人手が足りないないなら知り合いに当たってもいいしさ。」
子育てを支援する機関は町中溢れてるし。
「でも!お父さんの言う事は事実よ、未成年のアンタが簡単に生む何て言える訳ない。」
「お母さん…。」
「風馬君。」
「何ですかおばさん。」
「…彼方だって他人事じゃないのよ?覚悟は出来てる?」
「はいっ!決して容易な事ではない事は承知しております。それでも!僕は彼女との子供が欲しいです。」
「……。」
「僕は彼女に誓いました!何があってもどんな辛い事があっても彼女を護りそして幸せにするって!」
何だろう、涙が…。そう決意する彼の瞳と口調に嘘も迷いも一遍も感じれない。
「…そうかぁー、ならわしも腹をくくるしかないのぅー。」
「お爺ちゃん!」
話は切り上げられ立ち上がると膝に痛みが走ったそうだが、娘である母が咄嗟に体を支えてあげて、共に居間を後にした。
「………。」
開いた口が塞がらない私。本当に私と彼の子供が出来る、それが現実としてなる事が未だ信じられず。
するとそんな私の心情を察した彼が優しく肩を掴み。
「しっかり!これからが本番だよ。」
「う、うん!」
その日の夜は本当に眠れなかった。