第8話 模擬エスコート-3
席についた【A2番】先輩は『ここの正しい振舞方を説明するべさ〜』といって、ウェイトレスを呼びつけました。(もちろん私がお尻をふって、呼び鈴を鳴らしました) そこからは因縁の嵐です。 やれ『来るのが遅い(呼び鈴を鳴らして15秒せずにやってきました)』、『姿勢が悪い(ピンと背筋を伸ばしています)』、『注文の挨拶が聞き取りにくい(私には滑舌良く聴こえました)』等と難癖をつけて、次々に器具に手を伸ばしました。 Bグループの先輩ウェイトレスは因縁をつけられるたびに『申し訳ありませんでした』と謝罪し、『どうか出来そこないの自分を躾けて下さい。 よろしくお願い致します』と自罰乞いをします。 【A2番】先輩は当然のように頷き、まずは太腿にケインを弾けさせました。 次にウェイトレスにスカートを自分で捲らせてからバラ鞭で打って、舌を出させてから万力クリップで挟んで、最後は足元に土下座させてから首筋に熱蝋を垂らします。 ウェイトレスの先輩はニコニコ微笑んで罰を受け、痛みに顔を顰めることもありません。 叩かれるたびに数を数え、ひたすら感謝の言葉を述べました。
『ひとっつ! ありがとうございます!』
『ふたっつ! ありがとうございます!』
『みっつ! ありがとうございます!』
という具合です。 そうして【A2番】先輩が器具を元の場所に戻すと、深々と一礼して、何事もなかったかのようにカウンターに戻り、平然と注文したグラスを持ってきました。 肌を叩く音の大きさからしても痛くないわけないのに、どんな訓練をすれば、こうも落ち着いて振舞えるんでしょうか……取り乱さない心構えを『品性』と称するならば、これ以上ないくらい『上品』な振舞だと思いました。
続いて入ったB−3組の模擬店は、『Tランチ』という名前です。 扉に設えた暖簾(のれん)を潜ると、ファミレス風に仕上がった店内のあちこちから『いらっしゃいませ』と声がしました。 テーブルには大小様々な『羽ペン』が置いてあります。 【A2番】先輩は『焼うどん』を注文してから『【T】はtickleの頭文字。 『くすぐる』っていう意味しょや』と教えてくれました。 『くすぐりランチ』――う〜ん、間が抜けた響きです。
調理は私達のテーブルに持ってきたホットプレートの上です。 ホットプレートを持ってきたウェイトレスが、事前に刻んである野菜やうどんに熱を通し、ソースを絡めてくれますで、その間ずっと羽で身体を擽(くすぐ)られるわけですよ。 脇、おっぱい、おへそ、おまんこ、膝小僧に肘の裏……擽ったいポイントは制服に穴が空いており、簡単に擽れるようになっています。 【A2番】先輩はおへそを擽るのが好きなようで、調理してもらっている間中ずっと、羽を臍回りに這わせていました。 羽の動きを見ているだけで、こっちまでくすぐったくなってきます。 それでもウェイトレスの先輩はニコニコ笑顔を保ちながら――時折表情を引き攣らせていた気がしますが――焼うどんを作ってくれました。 羽の動きは擽られても乱れることなくキチンと調理することが『Tランチ』のおもてなし、ということのようでした。
最後の飲食系は、私達『史性寮』の先輩方が運営する、B−2組の模擬店です。 『駄菓子O』といって、綿菓子やりんご飴、ベビーカステラといった懐かしいお菓子を扱っています。 『O』が何を意味するかは、入ってすぐに解りました。 黒板には『どんなOrder(命令)にも従います。 ただし食品を扱う場所なので、衛生面で不都合な恐れがある命令はご遠慮ください』と書いてあったからです。 『どんな命令にも』って……『オナニーしろ』や『その場でウンチを漏らせ』のような命令は、衛生的に問題がありそうです。 となるとどんな命令になるんでしょう。 例えば『窓から飛び降りろ』とか『1秒で持ってこい』とか、そういう感じでしょうか? もしそうなら、ちょっとハードル高すぎな気がするんですが……。
【A2番】先輩が出した命令は、私が想像したものとは違いました。 『綿菓子でカッポレを踊れ』や『りんご飴でリンボーダンスしろ』、『高速でオケツを左右に振りながらポン菓子を作れ』といった内容です。 身体を責めるというよりは、自身で嗤いを取らせようとする命令が次々飛び、寮の先輩方は忠実に命令をこなしていました。 中には『ベビーカステラより大きくクリトリスを勃起させて調理しろ』みたいに無茶な命令もありましたが、この命令を受けた【B5番】先輩は即座にスカートをめくります。 スカートの下の割れ目からは、既にビンビンで、ベビーカステラに負けず劣らず勃起したクリトリスがのぞいていました。
さて、この階――B棟2F――の模擬店は以上です。 続いて『娯楽系』の模擬店を見学すべく、【A2番】先輩と私は3Fへの階段を一緒に登りました。