裕美のショー-1
日曜日の夜、門村に付き添われてやってきた裕美は、なるほど真面目そうな雰囲気だ。
すっぴんで眼鏡だとは聞いていたが、髪も後ろに無造作に束ね、服装も質素だ。
ただし、すらりと長い手足、程好く肉付きのいい体は服の上からでもわかる、顔も頬がふっくらしている割には小
顔で、愛嬌がある感じだ。
「裕美と申します、よろしくお願いします」
挨拶もきちんとしている、明るく、やや高めの可愛らしい声だがしゃべり方がしっかり、きちんとしているので甘
ったれた印象はない。
「確かに聡明そうな感じのいいお嬢さんだな……里子と助手の井上君が下で待っとるよ……メイドの衣装も用意して
あるはずだ」
「はい」
「色々と器具は並んでおるがね、嫌なものは使わないよ、里子と話し合ってくれ、わしと門村さんはゲストを迎えて
から降りて行くから」
「わかりました……では後ほど」
丁寧に一礼して裕美が下に降りて行った。
「門村さん、流石に一流大学の学生だな、今時の若い娘にしては実にしっかりした感じだ」
「ええ、話していてイライラさせられるようなことは全くないですね、他愛のない話でも彼女と話していると気分が
良くなりますよ」
「門村さんは仕事柄、若い娘と話す機会も多いだろう? それでもイライラしたりすることがあるのかね?」
「年中ですよ」
門村は苦笑した。
「初めまして、裕美と申します」
「ああ、時間ぴったりね……里子です」
「すごい部屋ですね……」
「怖い?」
「少し……」
「痛み系はNGなんでしょう?」
「わからないんです、経験がないので……」
「絶対的にNGというわけではないのね?」
「はい……動画なんかでそういう場面を見ると『ひゃあ』って思いますけど」
「それはどういう『ひゃあ』?」
「わあ、痛そうって思う反面、どんな気持ちになるんだろうって……」
「わかったわ……興味がないわけじゃないのね? もしするなら様子を見ながら、それでいい?」
「はい」
「後は?ギロチンなんかもあるけど」
「あの……恥ずかしい格好を見られることには興奮するんです……ですから……」
「OKということでいいのね?」
「はい」
「吊られることには?」
「それにはちょっと憧れてるんです」
「そうなの、それは心強いわ、任せて」
「はい、お願いします」
「後は大体門村さんから聞いてるから……これに着替えて」
「はい……わあ、胸が開いてるメイド服ですね」
「SMショーですものね」
「そうですね……でも襟とカフスが可愛い……」
無邪気に振舞っているが、着替えの最中、かすかに震えていることを里子は見逃さなかった。
これから起こる事、されることをちゃんと理解した上で、恐らくは恐怖心を抑える為だろう、無邪気を装っている
のだ。
里子の経験から言うと、こういう娘は責め甲斐がある、最初からぶるぶる震えてる娘はやはり責めに対する耐性が
低いし、余裕たっぷりに見える娘はSMを舐めていることが多く、予想に反して本格的に責め始めると泣き喚く、だが
気丈に恐怖を抑えている娘は耐性も高いし、過剰に泣き喚いて白けさせられることもまずないのだ。
ゲストも揃い、大沢から声がかかる。
「里子、ゲストは揃った、始めてくれ」
里子、井上に伴われて出てきた裕美にゲスト席からざわめきが起こる。
程好くぽっちゃりした体型、小さく丸い顔、化粧は薄くナチュラルで、近頃の化粧で作りこんだ顔とは明らかに違
う、一昔前の可愛らしさがある、比較的年齢層の高いゲストには若い頃にときめいた女性を思わせる。
メイド服は上がキャミソールのタイプで正統派のメイド服とは違うが、肘まである手袋、白いエプロン、レースを
あしらったヘアバンドがメイド服らしさを演出している、裾からフリルが覗く短いスカートと白いニーハイソックス
の間から太腿がチラリと覗いているのも中々エロチックだ。
「ほう」
「可愛いじゃないか……」
「メイド服が良く似合ってるな……」
丁寧に頭を下げる裕美に高感度も高い。