白いニット-1
タクミは黙ってちづるを見る。
「、 、 、、、。」
やっぱり
、 、、、。
うん。
ちづちゃんは分かってんな
自分がかわいい事
人より 目立ってる事
「知可子のお店の服なの。
こないだここに来てくれた時、
くれたんだぁ。
アパレルはさぁ、
自分とこのお洋服を
買わなきゃいけなくて、、。
あ、もちろん
かなり安く買えるんだけどね?
すぐ、タンスに
入りきれなくなっちゃってさぁ、、。」
「、 、 、 、、。」
「だからたまに知可子がくれるの。
サイズがほとんど同じだから。」
「、 、 、、、。」
「お店の洋服は
凄く好きだったから。
貰えるのは
かなり助かっちゃう、、。
? 」
「 、 、 、、ん? 」
「 んっ? どーしたの?
ぼんやりしてたよ?」
「 、、。そーぉ? 」
何も分かってないのは
やっぱ ふり なのか?
天然
だとしても
ちづちゃんは 絶対
あざとい
「 ? 」
「 、、、。 うん。
かわいいよ。
ニットが 。」
タクミは少し嫌味を含め、
『ニットが』を強調させて言った。
しかし、それを聞いたちづるの顔が
パッと明るくなった。
ちづるが言う。
「でしょ!?
ちょっと他では売ってないの!
やっぱり分かる?
袖口がね?
少し広めに出来てるから。
中の、、赤と、ピンクの刺繍が
見えるような造りなんだよ。 」
「 、 、 、 、。」
なんで ここで
天然出るかなぁ
嫌味すら 届かない
っちゅーーー
ね。
タクミは嫌味に全く気がつかない
ちづるに悶々とした。
それから2人は外に出て
ちづるは職場へ、タクミは
買い物に向かう。
駅のロータリーで2人は別れた。
タクミは弁当屋で買い物をする前に
駅ビルの中のメンズの洋服屋を
ブラブラと散策する。
気になる洋服を手に取り
品定めするがちづるの事をつい、
考えてしまう。
「、 、 、、、。」
っつーか。
新しい かわいい洋服を
最初に着ていくのが職場って
、 、 、 、、。
たとえば
デートの時に着る
とかじゃね? 普通、、
「、 、、 まさか 」
吉川に見せたくて
とかじゃ
ねーだろーなーーー
「 っ はーーー、、、」
タクミが商品を手に取り
それをじっと見つめながら
ため息をつく。
するとそこへ男の店員が
「サイズ、出しましょうか?」
と話しかけてきた。
タクミは「大丈夫です、、」
と断ると洋服を置いて店を出た。
タクミが持っていた商品は
真っ白の男物のニットだった。
それから本屋で漫画を1冊買い、
弁当屋で2人分の弁当を買い
家に帰った。
自分の家に着き、
時計を見ると6:30だった。
部屋着に着替えてベッドの上で
寝転び漫画を読む。
その後シャワーを浴びて
テレビを観たり、
スマホで友達と
ラインで雑談をしたりしていた。
10時が過ぎるとちづるかラインがきた。
【ただいま(^з^) 帰ってきたよ】
という文を読むと、2人分の
弁当の入ったビニール袋を持ち
玄関を出た。