来客-1
同日の月曜日。
午後2時すぎに、
知可子はちづるの家に来た。
前日の日曜、ラインで知可子と
ちづるは雑談をしていた。
その時に
ちづるは熱を出してしまい
今日は仕事を休んだ、と報告する。
心配した知可子は
【明日私、
仕事が午前で終わる予定なの。
お見舞いに行くよ。】
と、メッセージを入れた。
知可子は仕事が終わってから
駅から近い店でプリンを買い、
ちづるの家に来る。
ちづるは、
もう熱はひいていて
朝から料理をしていた。
グレーのトレーナーに
黒いロングスカートの部屋着で
化粧もしていなかった。
キッチンに立ち、
2人分のコーヒーを入れながら
茶色のソファーに座っている
知可子に話す。
「本当ー、ありがとね。
来てくれて。 」
「んーんー。
プリンさぁ、駅前の
新しく出来た所のやつなんだ〜。
後で食べよ っ ! 」
「あっ 分かるっ
気になってたよ、私も。」
「っつーか、熱下がったなら
来た意味なかったね。私 」
「ふふっ
あ。ねぇ、スープ食べる?
お腹は、、空いてない? 」
「え? いいの?
食べる〜!
小腹空いてたんだ〜」
「ふふっ
温めるね。」
ちづるは、
知可子の相変わらずの遠慮のない
態度に癒される。
2人分のコーヒーとスープを
テーブルに運ぶ。
知可子はソファーに座り、
ちづるは床に座っている。
しばらくお喋りを楽しんだ。
2人が話す時は、
だいたい知可子が喋り、
それをちづるが聞いている事が多い。
今日も知可子は仕事の愚痴や
恋愛話をする。
しばらく話続けて知可子は言う。
「そういやちづる、
ご飯まだ食べてなかったの?」
「ん? うん。
作っただけで、食べてなかった。」
「えー?
熱は下がったんでしょ?
遅い昼だね。 」
「んーー、、、 ふふっ
なんか最近、食欲なくて。」
「 、 、 、、。」
「あ。でも本当
ただの風邪?
疲れの熱?だったのかなぁ。
とりあえず熱は、引いたけど。」
「 、 、、なんか、あったの?」
「 ぇ?」
「、 、、、彼と? 」
「、 、 、、、。」
ちづるの顔が曇る。
知可子は言う。
「なぁにー?
喧嘩でもしちゃった?」
「、、 、、 、、。」
「 、、、。
相手が誰って。
聞かないわよ?
アタシ。 」
「 、ぇ?」
「こないだ飲んだ時ー。
それだけは言えないって
ちづる、言ってたじゃん。」
「、 、 、、、。」
「 だ か ら 。
内容だけ。聞いてあげる。
っ はーー。
アタシ、優し〜ぃ っ 」
「、 、 、、 ふふ っ」
ちづるは寂しそうに笑うと、
静かに「こないだの、火曜に、、」
と話し始め、
一通りあった事を知可子に伝えた。
ちづるが話を終える。
しかし知可子は、
ちづるがまだ話を終えたと
思っていなかった。
少し寂しそうな顔をして
コーヒーをすするちづるに
知可子が言う。
「そんな怒ったって事はー、、
キスでもしちゃったとこ見られた。
とか? 」
「 へ?」
「その、、 誰? 職場の、」
「っ 、、してないよ?」
「じゃー 何?
手でも繋いでたとこ見られた?」
「 ? 繋いでないよー。」
「 え? じゃあ、
彼はなんで怒ったの?」
「ぇ、 と。
だから、
送ってもらった 事。
彼からの送りの誘い
断っちゃってたし、、、。
でも本当に、
1人で帰るつもりだったから、、。」
「、 、 、、。」
「 ? 」