来客-5
知可子は
ちづるが泣いている事に驚く。
それでも
ちづるの言っていた彼が
タクミの事だとは
微塵も思わなかった。
知可子はタクミに言う。
「じゃあっ
ありがとーねっ! 」
「 、 ぇ?」
知可子はバタンと
玄関のドアを閉めた。
タクミはドアの外で
呆然と立ち尽くす。
玄関越しに中から、
知可子の声が聞こえ
タクミは耳をすませて
2人の会話を聞き取ろうとする。
「ちづるっ!
どぉ〜した 〜〜」
「〜っ、 ふ、 、っ
ぅ 〜っ、、」
「彼の夢でも見た?
っ もーー、、、 なんか、
不安定すぎだよーー。 」
「〜っ、 、
ぅ 〜っ、っ、、
ごめ 〜っ んっ 」
「、、、。
アタシさぁ。
もうちょっと、居ようか?」
「 ぇ? 〜っ、 ん、
ううん、 それは 」
「 、、彼に、
電話とか、してみたら?
そんな 思い詰めてるなら 」
その時。
玄関のドアが開き、
タクミが中に入ってきた。
バタンとドアを閉じる。
知可子が驚いて
タクミを見ている。
「 ゎっ!
ちょっ、、 何 っ? 」
「あの、、。俺 」
「 ? 」
「話すんで。
彼女と。」
「 、は? 何を?」
「ぇーーと、、、。」
「 んっ? 、 、、、」
ぇ ?
まさか
、 、って
違うよね
んな訳 ない よね
え?
「 ちづる ? 」
まさか っ !!
! !!
「〜っ、知可子、今日、、
ありがと、、。
また、連絡する 〜っ、、」
「 え? 、、うん。
っ、、
帰って、、、へい き?」
「、 、、うん。」
「ん、 じゃあ、、
ぇーーと、、 バッグを 」
まさか
本当に?
聞きたい っ !
けど この 空気 !!!
知可子は
頭の中がパニックだった。
色々と、ぐるぐる考えながら
部屋に行きバッグを持つ。
知可子がちづるに声をかける。
「じゃあ、、
とりあえず今日は 」
聞ーきーたーいーー っ!
今すぐ
聞きたい っ!!
「 ん、。
〜っ、、 またね、、
心配かけて ごめんね、、」
知可子が玄関で1度座り
靴を履く。
タクミはまだ靴を履いまま、
玄関に立っていた。
タクミがちづるに言う。
「待ってて。
俺、下まで知可子さんを、、。」
「 、〜っ、 、ん 」
知可子は靴を履いて立つ。
頭の中のパニックは続き、
呆然とした気持ちでいた。
タクミは、
そんな知可子を少し気遣うように
ドアをあける。
知可子はタクミを変な顔で
見ながら出ていき、
タクミもその後一緒に
出ていった。
ドアがバタンと閉まると、
知可子はタクミの顔をじっと
見つめる。
見つめた後に頬がひくっと
動き、なんとも言えない
苦笑いをしてタクミに言う。
「 、 、うっそでしょー、、。」
「、、、。
下。 行きましょ っか。」
2人は外の階段を下りる。
下まで着くとタクミは言う。
「まぁ、、その。
健に、聞いてください。」
「 ぇっ ? 」
「 ぁーーー、、でも
その 、、
健が知ってる事は、、
ちづちゃん
まだ、、知らないから。」
「、、、 。」
ちづ ちゃん
「隠したがってると、思うから。
その、、、 」
「、 、、、。」
「やっぱ、、 うん。
結婚してて。
そんで、若い、、、
10代の男と付き合う、とか。
隠したがるのが、、。
普通だと、思うから。」
「、 、 、、。」
2人は、なんとなく沈黙した。