夜道-1
それから2日後の火曜日。
タクミは学校、ちづるは職場で
お昼休みにラインで
やりとりをしていた。
タクミは会話の中でちづるに
こう送っている。
【やっぱ迎えに行こうか?
夜道、危なくない?】
【大丈夫だよー
駅から結構、人歩いてるし】
今日の夜、ちづるは職場の人間
数人と飲みに行く予定で、
タクミも友達とラーメン屋に
行く予定だ。
ちづるから、続けてメッセージが
入る。
【タクミ君達、
ラーメン好きだね(^o^)】
【健がラーメンマニアかも。】
【そーなんだ (笑)
そういえば、健君の姉も
麺類大好きかも〜(*^^*)】
【知可子さんも?
やっぱここの姉弟、仲良いわ。】
【そうだね〜!羨ましい。
あ、もうすぐ休憩終わる。
また帰ったら連絡するね♪】
【分かったー
あ、69は調べたの?】
【調べた。
やっぱり全然違った( ̄^ ̄)】
【またちづちゃん考案した69。
しようね 】
タクミはそう送った後、
投げキッスをしているスタンプを
送った。
ちづるは
困った顔のスタンプを送った後、
バイバイのスタンプを送った。
タクミは学校が終わり、
友達の健を含む男4人で
ラーメン屋に行く。
ラーメンを食べ終わり店を出ると、
もう日は沈んでいた。
健が洋服屋に行きたがり
4人は駅ビル5階のメンズショップを
散策する。
男同士のショッピングが終わり、
解散して家に帰った。
タクミは家で制服から部屋着に
着替える。
少なめの宿題と、明日の学校の
準備を一通りしてから
ベッドに横になりながら本を読む。
1時間ほどして、ふと気がつく。
「 ぁ、。 、、やべ 」
自分の部屋の
テレビの横に置いてある
単行本サイズの黒い袋を見る。
中にはレンタルDVDが2本
入っている。
起き上がり、
袋の中のレシートを取りだし
見ると返却日は今日だった。
「、、 っ はぁ 。」
タクミはめんどくさそうに
スウェットをGパンに履き替える。
部屋の時計を見ると11時だった。
家を出て、
駐輪場までの外の階段を降りる。
雨は降っていないが雲が多く
空はどんよりとしていた。
寒いと思って上着を着たが
3月の夜の空気は
意外に冷え込んではいなかった。
駐輪場まできて、自転車に乗り
駅方面に向かう。
自転車をこぎながら、
どんよりとした空をもう一度見て
ほんの少しだけ日曜の事を思い出す。
「 、 、 はぁ 。」
女の人は
エッチをしてくと
苦しそうになる、 か。
昔は確か、そんな風に
見えてた
なのに なんで
ちづちゃんは
ちづちゃんだけ
違うんだろう
付き合ったのが 夏で
今はもう 3月
ちづちゃんは
出会った頃と 何も
変わらない
、 、 、、 俺 か?
エッチをしてって
どんどん 苦しくなったり
焦ったりしてんのは
「、、、。やっぱ俺?
なの ? 」
そんな事をぼんやりと考えながら、
自転車のスピードを少しあげて
独り言を風に乗せてみる。
あっという間に駅の北口にある
TSUTAYAに着いた。
自転車を降りずに股がったまま、
返却BOXに黒い袋ごとDVDを入れた。
明るい駅ビルを少しだけ眺め、
すぐに家に向かおうとした。