夜道-4
タクミは部屋に戻ると
ベッドの上に腰をおろし、
一点を見つめて動かない。
ちづるに対する苛立ちが
治まらずにいる。
「、 、〜っ 」
なんなんだよ!
なんで
何もかも受け入れんだよ!
〜っ
送りの誘いも
俺と
会わない事も
「、 、 っ、、 」
タクミの視界にふと、
枕元に置いてあるCDが入る。
タクミは
CDを持つと、
ジャケットを見て思い出す。
日曜日に、
ちづるとご飯を食べながら
このアーティストの話をしていた。
ちづるは嬉しそうに
『今度、CD 持ってきてね。』
と言っていた。
「 〜っ、 、 、、 っ」
『なんでそんな事、〜っ
言うの? 』
タクミは、
手に持っているCDを
思いきり床に投げつけた。
CDケースは
カシャンと音を立てて割れ、
中のCDがケースから半分飛び出した。
ちづるの悲しそうな顔が
頭から離れない。
言葉が、頭の中で
何度もリピートされる。
『なんで そんな事言うの?』
「 〜っ、 ちづちゃんが 」
言わせたんだろ
俺に
「 、 、 、、〜っ、 」
あ 。
俺 りさちゃんに 昔
同じ事を
タクミは思い出す。
同じ高校の先輩、
りさと付き合っていた頃の事。
口論の末、りさが感情的になり
今のタクミと同じように
CDを壁に叩きつけた。
そういう事をしないでほしい、
と、タクミは伝える。
りさはこう言っていた。
『タクミ、っ、アタシの事、
馬鹿にしてるよっ!』
『 タクミが、 、
させてるんだよ !〜っ 』
「、 、 、〜っ、 」
あの頃の りさちゃんも
こんな気持ち だったのか
タクミは、
割れたCDケースを見つめる。
再びちづるへの苛立ちが沸いてくる。
その夜はいつまでも眠れずにいた。