絢子のショー-2
井上が椅子を並べ、里子はフックの操作を点検し、準備は整った。
ゲストも席に着くと、大沢が大きな声で宣言する。
「里子、ゲストは揃った、始めてくれ」
部屋の隅にかけたカーテンの奥から里子と井上が絢子を連れて出てくる。
里子はコルセット風のボンテージ、40歳とは思えない引き締まった体だ、よほど鍛えているのだろう、今ではあまり見かけなくなったソバージュの長い黒髪が迫力満点だ。
井上は黒いTシャツに黒いトレーニングパンツ、185センチはあるだろう長身と、厚い胸板、太い腕が『男の力』を感じさせる、里子を鋭利なナイフに例えるなら井上は鉈だ。
絢子は里子が持参したワンピースに着替えさせられている、袖なし、膝丈の何の変哲もない白いワンピース、夏の行楽地に行けばどこにでも転がっていそうな服装、裸足なのだけが少し異様だ。
絢子は先ほどの生気のない感じとは大分違っている、クスリを与えられたのだろう、落ち着きなく視線を彷徨わせているが焦点が定まっていないような感じはない。
こうしてみると、中々の美人ではある、肉感的な部分はないが、理知的な感じの整った顔立ち、身長も160位だろうか……170近くあり、ピンヒールも履いている里子よりは大分低いがスタイルは良い、ただ、袖なしのワンピースから覗く二の腕は異様に細いが……。
大沢を取り巻いて座っているゲストたちは大沢に話しかけてくる。
「中々美人じゃないか」
「あの細さ……ヌードだけなら物足りないかもしれないが、被虐味は凄そうだな」
「よくこれだけのタマを手に入れたな……楽しみだよ」
大沢もそれらの言葉に頷きながら、里子に声をかけた。
「ゲストは揃った、始めてくれ」
ステージ……と言っても床を30センチほど上げただけのものだが、そこに上がると言うことは見世物になる事を承知したも同じ。
絢子はぐっと息を飲み込んでその一段を上った。
里子が絢子の両手を出させ、縄を巻いて行く、絢子は静かにそれを受け入れる。
巻き終えると、縄をフックに掛け、チェーン操作で引き上げて行く、絢子は爪先立ちとなり、腕や脇が伸びきっている。
そこをめがけて里子のバラムチが飛ぶ。
「ああああっ!」
いつものショーでの打ち方とは違い、スナップを利かせた打ち方、薄いとは言えワンピースの上からなので音は派手ではないが、絢子の揺れ方を見ればかなりの衝撃であることは分る、しかも伸びきった両脇を中心に打ち据えている。
「こいつは本物だ……」
「見せ掛けだけのショーとは違うな……」
ゲストから感嘆の言葉が大沢に掛けられる。
「ああああああっ……」
パンストをはいていない生脚を払うように打たれ、思わず絢子が脚を縮めて一瞬だが縄にぶら下がると、里子はムチを持ち替える。
一本ムチ。
一撃で蚯蚓腫れをつけられる凶器だ。
ピシィ。
派手ではないが鋭い音を立てて一本ムチが絢子の胴に巻きつくように打ち込まれる。
「ぎゃああ!」
絢子は堪らず叫び声を上げる、ワンピースが衝撃で裂け、ムチの威力を物語る。
「あ……ああ……やめて……」
里子が再びムチを構えるのを見て絢子は恐怖の声を漏らす。
その声に冷たい微笑みで応え、里子はムチを振る。
「ぎゃあああ!……ぐわああああ!」
ムチは容赦なくワンピースを何度も切り裂く、恐らく絢子の体にも同じ数の蚯蚓腫れが出来ているに違いない。
里子が膝をついてムチを低く構える。
「あ……やめて……」
絢子は恐怖の表情で首を振るが、里子は構わずに振りぬいた。
「ぎゃああああああああああ……」
脚を払われた絢子は縄にぶら下がってしばらく揺れる……脚を曲げたり伸ばしたりしながら痛みを堪えているようだ、足首に見る見るうちに赤い線が入り、次第に膨らんで来る、蚯蚓腫れだ。
「すげえ……」
「本気の里子は恐ろしいな」
ゲストも普段の里子とは次元の違う責めに息を呑んでいる。
「井上君、破っちゃって」
里子の指示で大男の井上がワンピースに手を掛ける。
ビリビリと勢い良くワンピースが引き千切られていくが、絢子はうなだれたまま……もっとも、それに抵抗する術も与えられていないのだが。
袖の廻りの僅かな布を残してワンピースが取り去られ、絢子の裸身が露になる、腕から想像はついていたが、あばらが浮き出るほどの痩身、さほど大きいわけでもない乳房だがその分部だけが膨らんでるのが妙に艶かしく見える。
里子が井上に電マを二本手渡すと、井上は黙って絢子の後ろに廻り、里子自身は絢子の正面に胡坐をかいて座り込む。
井上が電マを背後から両方の乳首に押し付けた。
「ああああああ……」
身悶えするヒマを与えずに里子が股間に電マを押し当てる。
「あああああああああああああああああっ……ああああっ……」
絢子が足踏みをするように悶えると、里子は片足を?み、肩に担いでしまう、股間はさらに開かれ、電マの強烈な振動を子宮にまで響かせる。
「あああああああああああああああああっ……」
身悶えは出来ない、ただ首を振るのが精一杯の絢子は声を上げることしか出来ない。
電マ責めは執拗に続き、絢子は天を仰ぐ。
よだれがだらだらと流れる……井上が右手で絢子の髪を?み、顔をゲストに向けさせる。
視線を彷徨わす絢子の表情には狂気が表れ始めていた。
里子はさらにぐいぐいと電マを押し付け、絢子の視線はめまぐるしいほどに激しく彷徨い出す。
「大沢さん……彼女、どうなってる?」
「薬物中毒だよ、クスリのせいもあるんだ」
「すげぇな……気が触れるんじゃないか?」
「かもしれんな……まあ、里子は限度を良く知ってる、ぎりぎりを愉しもうじゃないか」
「ああ……こんな見ものは他にないよ……」